観光庁は久保成人長官の新年のあいさつを発表した。
久保氏は、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」が決定され、成長戦略に盛り込まれた2013年を「節目の年」と振り返り、今年は訪日外客数2000万人の高みを目指すスタートの年として、アクション・プログラムの実行を加速化していく意欲を表明。また、昨年9月に決定した2020年の東京五輪に向け、開催効果を東京のみならず地方にも波及させるべく、地域ならではの自然・歴史・文化等の幅広い資源を最大限に活用した「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを促進。あわせて、国際的注目が高まる好機を活かし、MICEの国際競争力の強化に取り組む意気込みを述べた。
発表されたあいさつは以下のとおり。原文のまま掲載する。
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観光庁長官メッセージ
平成26年という新しい年を迎え、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
昨年は、6月に観光立国推進閣僚会議で「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」が決定され、その内容が成長戦略にも盛り込まれるなど、観光庁にとって節目の年となりました。加えて、皆様のご協力のもと、史上初の訪日外国人旅行者1000万人を達成することができました。このように、観光への機運が高まる中、観光立国のための取組に拍車をかけなければならないと気持ちを新たにしているところです。
まず、本年は2000万人の高みを目指すスタートの年として、アクション・プログラムの実行を加速化していきます。訪日客数が増加しているASEAN諸国に引き続き、欧州など今後の訪日客増加が期待される潜在市場へも重点的・戦略的プロモーションを実施していきます。
さらに、外国人旅行者の受入環境を整備すべく、美術館、博物館、自然公園、観光地、道路、公共交通機関等において、外国人目線に立った共通ガイドラインの策定等により、多言語対応の改善・強化を図るとともに、空港や港での出入国手続の迅速化・円滑化、個人旅行者の増大に対応した公共交通の利便性向上、無料公衆無線LANの自主的整備の促進、ムスリム旅行者の受入環境整備等の施策を積極的に進めてまいります。
買い物環境等の整備に関しては、外国人に人気な「化粧品」や「お菓子類」等の全ての品目が本年の10月より免税対象となることが決まりました。これを契機として、外国人観光客の利便性向上を図るとともに、地方での免税店の拡大にも努めてまいります。これに加えて、海外発行クレジットカードに対応したATMの設置を促進するとともに、少額であってもクレジットカード・デビットカードによって買い物を済ませる等の外国人の生活様式に対応した買い物環境の整備を進めることが重要であり、今後とも銀行関係者やカード事業者等との意見交換・協議を進めていきます。
また、「訪日旅行の壁」を取り除く事も重要です。昨年のASEAN諸国に引き続き、今後はそれ以外の国についてもビザ緩和の是非について検討を行ってまいります。
同時に、2000万人達成のためには、外国人旅行者と直接触れ合う宿泊、交通、レストラン等の観光産業に携わる一人一人の方が率先して外国人旅行者の誘客や受け入れを積極的に意識し、具体の行動に移して頂く必要があり、こうしたことが結果的に、我が国の観光産業を強化していくことにもつながると考えます。また、本年は、昨年4月にとりまとめた「観光産業政策検討会」の提言を踏まえた施策の具体化を図ってまいります。
昨年9月に2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催が決定しましたが、観光面での準備を始めていきます。大会の開催は訪日外国人旅行者拡大の強力な追い風であり、この開催効果を東京のみならず、地方にも波及させることが重要と考えるため、オリンピック・パラリンピックに係る文化プログラム等の実施に資するよう努め、地方の観光振興に繋げてまいります。
増加が見込まれている訪日外国人旅行者も含め、国内外からの観光客をお迎えするためには、魅力ある観光地域の形成が不可欠です。地域の関係者が連携し、地域ならではの自然・歴史・文化等の幅広い資源を最大限に活用した「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを図ってまいります。
引き続き、観光圏の整備を通じた滞在交流型観光の実現を図っていくとともに、地域ならではのブランドを確立するための支援を実施するなど観光地域づくりを促進してまいります。さらに、着地型旅行商品の開発をビジネスとして自立的・継続的に進める取組の支援など、地域の観光資源を効果的に活用する取組を促進してまいります。
なお、オリンピック・パラリンピック開催国としての国際的注目度の向上により、大規模な国際会議やイベントの招致が期待できます。この好機を捉え、国際会議等(MICE)誘致のプロモーションを強化するとともに、MICEの国際競争力強化に取り組んでまいります。
また、震災後の東北観光の復興にも継続して取り組まなければなりません。これまでも、震災からの復興と風評被害対策のため、情報発信体制の確立等の支援をしてきたところですが、特に今年は、震災から3年という節目を迎えます。この節目を契機として、関係自治体や民間事業者の皆様方とともに総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
本年も官民を含めた関係機関との連携を強化し、オールジャパンの体制のもと、観光立国の実現に向けて尽力してまいりますので、より一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
観光庁長官 久保 成人