世界の航空データを提供しているシリウム社が、2020年の航空データをまとめた「Airline Insight 2020」を発表した。それによると、2020年の世界の航空旅客数は前年比で約67%減となり、1999年レベルにまで後退した。
2020年(12月20日まで)の旅客便は前年の3320万便から1680万便に半減。国内線は前年比40%減の1300万便だった一方、国際線は同68%減の380万便に落ち込んだ。最も減便が多かったのは4月で、4月25日には世界の定期旅客便は1万3600便にまで減少。最も便数が多かった1月3日の9万5000便と比較すると86%減となった。
航空会社別に見ると、2020年で最も運航数が多かったのは米国のサウスウエスト航空で計85万4800便。アジア太平洋では中国南方航空の48万7700便、ヨーロッパではライアンエアの20万5000便、南米ではアズール航空の13万4000便、中東/アフリカではカタール航空の8万2400便。
空港別では、最も着陸数が多かったのはアトランタ空港で計24万5000便。最も運航便数が多かったはソウル/済州島線で7万700便だった。
2021年は「再編」「低コストの機材」「リース」が進む予測
このほか、シリウムはAirline Insight 2020のなかで、2021年の航空業界で起こると予想されるトレンドについても触れている。
まず、アジア太平洋では、航空会社の再編が進むと予想。機材については、A320neoや運航が再開されるボーイング737MAXなど運航コストの低い機材が運航され、余剰機材の退役が進み、ボーイング747やA380などの大型機は需要の高いレジャー市場に投入されるようになると指摘している。また、航空機の調達では、リースが全体の50%を超えて、主要な調達方法になると予測する。
さらに、予約間隔が従来の6ヶ月~12ヶ月前から6週間~8週間前に大幅に短くなっているため、航空会社はさらに柔軟な運航スケジュール設定が求められるほか、AIなどのテクノロジーの実装が進むことで、旅行者の体験の自動化とリアルタイム化が加速すると指摘している。