航空データを提供するシリウムは、航空需要が依然としてパンデミック前の水準を大きく下回っている中、データから利用者を増やしている空港についての分析を行った。
シリウムのデータプラットフォーム「シリウム・コア」から得られたスケジュールデータによると、利用者の多い世界上位300の空港(2019年のランキング)のうち14%の空港で、2021年7月から9月に出発座席数が2年前の同時期よりも増加していることが分かった。
なかでも中国とロシアの空港は大きく伸びており、中国では海南島のビーチリゾートに近い三亜空港や、中国有数の富裕都市である無錫市にある無錫空港で増加。ロシアでは、ソチ空港の出発座席数は79%も増加した。いずれも、国内旅行需要の増加によるもの。
また、プエルトリコの首都にあるサンファン空港は、2年前との比較で18%増加。ハワイのマウイ空港とマイアミ空港もコロナ前よりも出発座席数が多く、山間部の観光地として人気のソルトレイクシティやデンバーなども利用客を伸ばしている。
アジアでは、ソウルの仁川空港が、国内線の座席供給量はコロナ前との比較で10%増。観光地である済州島の済州国際空港も利用者を増やした。
ヨーロッパでは、シチリア島のパレルモ空港が5%増。ギリシャのクレタ島のイラクリオン空港やロドス島のロドス空港で増加が見られた。
一方、7月から9月の座席供給量が大幅に減少した空港は、東アジアに集中。シンガポール、ソウル、台北、クアラルンプール、バンコクなど大陸間の移動が多い大規模なハブ空港の回復が遅れ、特に香港国際空港は大きな減少となった。
このほか、シドニー空港は2年前と比べて85%減、ロンドンヒースロー空港が59%減、ドバイ空港が51%、アトランタ空港が16%減など依然として苦戦が続いている。
2021年10月~12月の予約状況を見ると、アメリカン航空のダラス・フォートワース空港やシャーロット空港でプラスに転じ、ヨーロッパではイスタンブール、ナポリ、ブカレスト、ブリュッセルの空港で増加が見られる。