観光系スタートアップの資金調達が大幅増加、投資家の旅行回復への期待高く、コロナ前を大きく上回る —フォーカスライト調査

米旅行調査会社フォーカスライトは、旅行系スタートアップに関する年次レポートを発表した。2022年第2四半期の時点でスタートアップによる資金調達は継続して増加していることから、多くの投資家が旅行市場の回復に大きな期待を寄せていると報告している。

パンデミックが発生した2020年、旅行系スタートアップも大きな打撃を受け、その年の合計調達金額は前年比45%減の45億ドル(約6165億円)に落ち込んだ。2021年になると大幅に回復。2019年の83億ドル(約1.1兆円)を大きく上回る125億ドル(約1.7兆円)に達した。

しかし、取引額は大幅に増加したものの、2021年の取引件数は2019年の607件から292件に減少。これは、低金利とパンデミック中に企業がテクノロジー投資を優先してきたためだと分析している。

このため、1件あたりの平均取引額は2021年と2022年で増加。2021年は4300万ドル(約59億円)に増え、2022年も現在までのところ4800万ドル(約66億円)となっている。さらに、各資金調達ラウンドに参加する投資家の平均数も増加しており、2020年以前の1.9人から2022年前半には3.1人に増えている。

2022年は5月の段階で旅行系スタートアップへの投資額は2021年総額の40%強。もし、2022年の投資額が最終的に2021年を上回るとすれば、金融市場が引き締められ、インフレが進む中、注目に値する結果になるとしている。

資金調達額トップは宿泊系スタートアップ、B2Bが増加

2012年から2022年の10年間を見ると、業種別ではホテル業での資金調達が最も多く、その総調達金額は76億ドル(約1兆円)。そのうち約半分の41億ドル(約5617億円)がOYOが占めた。また、Airbnbの上場などで短期バケーションレンタル事業も大きく伸び、その資金調達の総計は38億ドル(約5200億円)に達した。

次に多いのが配車サービス。T3 Travel、Bolt、Viaなどを筆頭に、計73億ドル(約1兆円)の資金を集めた。次に、都市交通系の55億ドル(約7535億円)、自転車/スクーター系の44億ドル(約6028億円)が続く。

全体では、一貫してB2Cスタートアップの資金調達がB2Bスタートアップを上回っているが、B2Bの資金調達が増加する傾向にあり、2021年にはそのシェアは過去最高の39%に達した。

※ドル円換算は1ドル137円でトラベルボイス編集部が算出

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:STATE OF TRAVEL STARTUPS 2022: INVESTORS BETTING ON FULL RECOVERY

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