米オレゴン州、日本人旅行者のニッチ市場を狙う、地元知り尽くした専門家ガイドツアーで奥深い体験を

米国オレゴン州は、日本市場でアドベンチャーツーリズムの訴求に力を入れる。ツーリズムEXPOジャパン2022に合わせて来日したオレゴン州観光局グローバル・セールス・ディレクターのグレッグ・エックハート氏は「ターゲットとして、マスではなくニッチマーケットを狙う」とアフターコロナでのマーケティング戦略を説明。その一つとして、コロナ禍では自然を求める旅行ニーズが高まっていることから「アウトドアアドベンチャーをアピールしていきたい」と話した。

アドベンチャーツーリズムの商材のひとつとして、地元を知り尽くした専門家によるガイドツアー「Why ガイド・プログラム」を紹介。豊富な知識を持つ専門家と巡ることで、「安全性を確保した上で、より豊かで奥深い体験を提供していきたい」と意欲を示し、日本市場向けには星空観測の「ダークスカイ・プログラム」などを提案していく考えを示した。

エックハート氏はサステナブルツーリズムについても言及。「オレゴンでは、従来から取り組んできた」と話したうえで、「DMOの役割としては、旅行者と住民双方が満足する施策を心がけている」と続け、地域の持続可能性を重視していく姿勢を示した。

また、南オレゴン観光局ディレクターのボブ・ハケット氏は、パートナーへの投資の基準のひとつはサステナビリティへの取り組みと明かし、「旅行会社にも同じ考えを共有してもらうことが大切になる」と続けた。

オレゴン州では、米国の国内旅行需要が急回復し、世界的にも海外旅行需要の回復が進んでいるなか、自然環境の保護だけでなく、オーバーツーリズム回避の観点から、サステナビリティと経済性との両立に取り組んでいる。例えば北部のコロンビア川渓谷では駐車場代を課金することで自家用車の乗り入れを抑制し、シャトルバスでの送迎を進めているという。

(左から)南オレゴン観光局のハケット氏、オレゴン州観光局日本事務所の松永知恵氏、オレゴン州観光局のエックハート氏日本市場の回復は2023年〜2024年か

オレゴン州観光局では近頃、将来に向けた10年計画を策定。その中でも、3つの柱のうちのひとつとして「サステナビリティ」を掲げている。また、パンデミックにより観光業が大きな打撃を受けたことから、「健全な経済性の確保」を挙げ、観光業界でのリーダーを育成するプログラムにも力を入れていくとした。

さらに、「公平性(エクイティ)」も柱のひとつに据える。車椅子や障がいのある旅行者でも楽しめるように、アクセシビリティツーリズムも強化していく考えで、「そのような旅行者を支援しているオペレーターを積極的にサポートしていきたい」との考えも示した。

日本では、2022年9月7日の帰国時のPCR検査陰性証明廃止に続き、10月11日からは1日の入国者上限も撤廃され、今冬から来年にかけて日本の海外旅行市場も本格的な復活に向かうと期待されている。オレゴン州観光局では、日本人旅行者数が2019年水準に回復するのは2024年から2025年にかけてと見ている。また、年間消費額は計7000万ドル(約100億円)を予想する。

「オレゴン州は、日本人旅行者を受け入れる準備を整えている」とエックハート氏。来年にはデルタ航空が羽田/ポートランド線の運航再開を計画していることから、今後さらに日本市場への取り組みに力を入れていく考えだ。

※ドル円換算は1ドル144円でトラベルボイス編集部が算出

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