パンデミックまでの10年ほど、拡大を続けていたのが東南アジアの旅行マーケットだ。突然の緊急停止を余儀なくされ、経済にも影響が出ていたが、ようやく本格的な回復傾向が鮮明になっている。
フォーカスライトが発表した最新の旅行調査レポート「東南アジアの旅行マーケット展望2021~2025(Southeast Asia Travel Market Report 2021-2025)」によると、タイとシンガポールでは2021年末、制限付きながら海外からの観光客受け入れが始まっていたが、東南アジア全域で旅行需要が回復へと動き出したのは2022年の第2四半期だった。
市場はインバウンドとアウトバウンドのどちらも勢いを増しているが、タイ、マレーシア、インドネシアでは、国内旅行も航空需要の復活を支えている。シンガポールでは、国際線ネットワークがようやく以前の規模に戻ってきた。これに続き、北東アジアの重要市場である日本、韓国、香港、台湾、さらに中国との間でも、フライト数の拡充が期待されている。
フルサービス・キャリアも格安航空会社も、路線や便数をもとに戻している。さらに主要都市や第二都市への路線を新規開設するところもある。ホテルの新規開業も活発だ。タイ、インドネシア、マレーシアでは、国内旅行市場も活気がある。
東南アジアの旅行マーケットは今後どうなるのか。2025年までの将来展望に関する5つの重要ポイントは以下のとおり。
- 東南アジア市場での総予約高は、過去最高だった2019年対比94%となる。
- デジタル・トランスフォーメーションはさらに加速し、東南アジア全域に広がる。オンライン予約は、2022年から2025年までに倍以上の伸びとなる。
- あらゆる形でモバイル・コマースに積極的に取り組んできた同地域では、モバイル経由の総予約高が2019年の倍に達する。
- インドネシアとタイでは、新しい鉄道サービスへの期待が高く、鉄道旅行の利用者数が増えそうだ。恩恵を受けるのは、モバイル・チケット取扱に力を入れるOTA各社になる。
- 中国人旅行市場の回復見通しがはっきりしないことで、最も打撃が大きいのはタイ。
2022年の受け入れ客数は、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアの4カ国合計で3000万人と予想されている。2019年実績と比べて少ない数字ではあるが、2023年以降の回復へ向けた足掛かりとなる。
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:5 THINGS TO EXPECT IN THE SOUTHEAST ASIA TRAVEL MARKET BY 2025