国連世界観光機関(UNWTO)は、UAEのドバイで開催されている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、2021年COP25で採択された「グラスゴー宣言」の進捗状況を報告した。
観光セクターが観光分野における気候変動対策を加速させることを目的としたグラスゴー宣言では、署名者が遅くとも2050年までにネットゼロを達成することを約束。測定、脱炭素化、再生、協力、資金提供の5つの分野で気候行動計画を実現することを目指している。
UNWTOによると、ドバイで計画報告書を提出した420署名団体のうち、気候変動行動計画を提出したのは261。そのうち70%は、CO2排出量の測定方法も示している。UNWTOは、測定方法及びその線引きに関して、合意形成を進めることが今後さらに重要になってくると指摘している。
報告された気候変動行動計画では、多様な脱炭素化のアプローチが示され、さまざまな利害関係者が応用可能な行動のデータベースが提示されている。この計画を分析において、気候変動の課題に効果的に対処するためには、共同で取り組むことの大切さが再確認された。
「グラスゴー宣言」が気候変動枠組条約に
こうした観光分野での気候変動対策を加速する取り組みが認められ、「観光における気候変動対策に関するグラスゴー宣言」は、グローバル気候行動プラットフォームの取り組みのひとつとして「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」に組み込まれた。
COP28に合わせて開催された観光に特化した公式イベントでは、排出量の測定、脱炭素化戦略、旅先の再生アプローチ、新たな資金調達などが紹介された。また、UNWTOは、「ワン・プラネット持続可能な観光プログラム」の一部として開発された、各国観光局による気候変動に対する取り組みを支援する政策ガイダンスも発表した。
グラスゴー宣言の署名団体は2023年11月時点で90か国以上の857組織にのぼっている。