航空フライト中の「乱気流」情報を公開へ、航空会社向けに、運行中のリアルタイムデータ蓄積で ―IATA

国際航空運送協会(IATA)はこのほど、航空会社がフライト中に乱気流を避けて効果的なルート計画を立てられるようにするデータソース「タービュランス・アウェア(Turbulence Aware)」を公開した。加盟航空会社から集められた乱気流データをリアルタイムに蓄積・共有することで飛行中の乱気流の予測に役立てるもの。同分野では、世界初の客観的かつ詳細なリアルタイム情報として、業界から期待が寄せられる。

航空会社は現在、運航時の乱気流の影響を軽減する手段として、パイロットによる報告と気象注意報に頼っている状況。それらの手段は効果的ではあるものの、情報源が一元管理されておらず、利用可能な情報のレベルと質に一貫性がない、位置が不正確で観察が主観的、といった理由で課題が多い。例えば、乱気流の重大度に対する標準化された尺度が存在しないため、機体の大きさやパイロットの経験の違いで報告が非常に主観的になっている。

この状況を受け、IATAは複数の協力航空会社からデータを収集し、厳格な品質管理を行うことで「Turbulence Aware」の管理に成功。データは出処が特定できないように加工された客観的な情報源として単独のデータベースに統合され、加盟企業が利用できる状態に整備した。このデータを航空会社のディスパッチシステムや空中待機システムに取り込むことで、直ちに利用可能な情報に変わるため、詳細なリアルタイムデータとしての価値も高い。

米連邦航空局(FAA)によれば、致命的な事故を除き、乗客や乗務員の負傷の主な原因となるのが「乱気流」。正確な乱気流データを利用できるようになれば、パイロットは非常に充実した情報を基に意思決定できることになるという。また、乱気流を避け、大気が安定的な高度まで安全に上昇できるようになることで、より最適な燃料消費が可能になり、最終的にCO2の排出量を減らすことにもなると評価。すでに気候に関する独自アプリ「フライト・ウェザー・ビュワー」を提供しているデルタ航空も、両方のデータを活用することで大きな効果につながることを期待するコメントを寄せた。

同データはトライアル運用として2019年を通じてIATA加盟航空会社に提供され、フィードバックを経て2020年には正式リリースされる予定だ。

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