JTBとJTB総合研究所は、「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」の結果をまとめた。両社の2つの調査に基づき、2月の感染拡大から緊急事態宣言の発令、解除の見通しが立つまでの間の人々の意識や行動の変化、今後の足元の旅行回復の動き、未来の旅行・観光のあり方への影響について調査したもの。
そのうち、JTBが行った「過去1年間の旅行経験者の旅行再開の考え方」についての調査では、旅行を再開するきっかけについて、「治療薬やワクチンが完成し効果が出る(45.6%)」「全国の緊急事態宣言が解除になる(43.8%)」「WHOが全世界の新型コロナの終息 宣言をしたら(33.9%)」が上位を占めた。
また、「周囲からとがめられなくなったら(26.8%)」では女性の割合が高く、「自治体が来訪自粛要請をやめたら(23.0%)」では男性のほうが高い傾向となった。「国際線、国内線の航空機の運航や鉄道の運行本数が正常に戻ったら(13.8%)」や「ふっこう割など旅行に行くための支援が始まったら(12.9%)」は他より低く、従来の危機とは異なる傾向も伺えた。
「すぐ行きたい」旅行についての質問では、「知人訪問 (24.4%)」「自然が多い(19.3%)」「帰省(18%)」「居住都道府県内の旅行(15.7%)」の割合が高く、「しばらく行きたくない」は「大都市圏への旅行」が55.5%、「海外旅行」は48.1%と高い割合となった。海外旅行については、全体的に若い女性が旅行に意欲的なのに対して、60才以上の女性では「二度と行きたくない」が14.6%にものぼった。
今後1年間の旅行支出は、「支出を増やしたい」が9.6%と昨年から14.5ポイントも大幅に減少した一方、「支出を減らしたい」は34.3%と16.2ポイント増加した。
次に、JTB総研が行った「感染拡大から現在までの旅行に対する意識の変化と年内の旅行について」の調査では、「2020年中の旅行を予定・検討している」の合計が、2月調査(48.1%)から3月調査では44.1%と微減し、緊急事態宣言 が発令された4月調査では31.9%と10ポイント以上減少、5月調査でも32.2%と低い結果となった。
「2020年中に旅行を予定・検討している」と回答した1000人前後に、予定する旅行の具体的な内容などについて聞いたところ、5月の調査では、「9~10月(シルバー ウィークなど)」が34.4%で最も高くなった。行き先では、都市圏が増加したものの、旅行先を居住地と同じ地方とする比率が高くなった。
海外旅行については、5月調査の出発時期は「9月~11月(シルバーウィークなど)(28.7%)」、「11~12月(冬休みなど)(25.5%)」が高くなり、行き先ではハワイ、東南アジア、台湾が上位を占めた。新型コロナが収束している台湾は4月調査 から増加に転じた。
このほか、具体的に旅行の予約を検討していない、あるいは変更やキャンセルを検討している理由についての質問では、「新型コロナの不安がある」が最も多くなった一方で、「今旅行したり、計画を立てたりするのは世間体が悪い」が、国内旅行で3月調査の5.5%から5月調査では12%に、海外旅行では5.9%から16.2%にそれぞれ増加した。