【年頭所感】観光庁長官 蒲生篤実氏 ― 政府一丸で観光回復へ、5本柱の政策プランで

観光庁長官の蒲生篤実氏が2021年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

蒲生長官は、年末年始は全国一律に一時停止としたGoToトラベル事業について、感染拡大を早期に落ち着かせて同事業を再開することが最大の支援策とし、2021年も適切に運用していく考えを示した。

さらに、感染拡大防止と観光需要回復のための政策プランについて、本年に取り組む5つの柱を紹介。国内旅行の需要喚起とともに、2030年6000万人の目標に向けてインバウンド回復への備えを進めるとしている。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


2021年 年頭所感

明けましておめでとうございます。

2021年の新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

我が国にとって、観光は成長戦略の柱、地方創生の切り札です。観光産業はホテルや旅館、旅行のほか、交通、飲食など、裾野が広く、地域経済にとって極めて重要な役割を果たしております。しかし、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大以降、国内外の観光需要は大幅に減少し、外国人旅行者数も2019年に3,188万人であったものが2020年には大幅に減少しています。(11月時点405.7万人。推計値含む。)

深刻な影響が生じている観光関連産業は、事業の継続と雇用の維持が大きな課題となっており、雇用調整助成金や持続化給付金などの支援を関係省庁と連携しながら講じてまいりました。

また、国民の命と暮らしを守り抜くという方針の下、ウィズコロナの時代における「安全で安心な新しい旅のスタイル」を普及・定着させることを目的とした重要なチャレンジとして、GoToトラベル事業を実施してまいりました。本事業の利用実績は、11月末日までに少なくとも延べ約6850万人泊となっており、実際に、宿泊・旅行をはじめ、新幹線や航空等の交通分野においても、営業状況は改善しつつあり、10月以降、特に旅行会社の予約人員や国内航空の輸送人員の伸びといった成果も見られたところです。年末年始においては、12月11日の新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言を踏まえ、全国一律に本事業を一時停止しておりますが、感染の拡大を早期に落ち着かせて、本事業を確実に再開することこそが最大の支援策であると考えており、本年においても、感染拡大防止策を徹底しつつ、本事業を適切に運用してまいります。

さらに、感染拡大防止と観光需要回復のための政策プランを令和2年12月3日に策定し、本年は以下の5つを柱として、感染拡大防止策の徹底を大前提に、当面の観光需要の回復を担う日本人国内旅行の需要を強力に喚起しつつ、2030年6000万人を目標とした本格的なインバウンド回復に備えた取組を進めてまいります。

(1)感染拡大防止策の徹底とGoToトラベル事業の延長等

ウィズコロナ時代においては、感染拡大防止を大前提として、観光需要の回復を図る必要があります。また、国内観光、インバウンドの双方で、観光地で実施されている感染拡大防止策が目的地を選択する際の旅行者の大きな関心事項になっています。こうしたことから、国内観光、インバウンド問わず、観光需要の回復に向けて、感染症対策を徹底することが必要となります。

このため、国内観光需要の回復に当たっては、引き続きGoToトラベル事業により、安全・安心の旅のスタイルの定着を図る必要があります。本事業については、12月8日に閣議決定された「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」において、例えば中小事業者や被災地など観光需要の回復が遅れている事業者・地域へ配慮するとともに、平日への旅行需要の分散化策を講じつつ、制度を段階的に見直しながら延長し、本年6月末までとすることを基本の想定としつつ、感染状況を踏まえ、柔軟に対応するとされ、これに沿って、引き続き感染拡大防止に向けた取組を徹底するとともに、本事業の目標達成に向けて適切に運用してまいります。

また、ワーケーションやブレジャー等を普及させることで、新たな旅行機会の創出と同時に旅行需要の平準化を図り、混雑や密を低減させることが有効であると考えています。

(2)国の支援によるホテル、旅館、観光街等の再生

観光産業は、新型コロナウイルス感染症によって大きな打撃を受けておりますが、このコロナ禍のピンチをチャンスとし、我が国の観光の底力を高めるきっかけとすべく、地域全体で作成した計画に基づき、老朽化した観光施設の再生や廃屋の撤去等を組み合わせることによって、全国100程度の地域における地域全体の魅力と収益力を高めるための意欲的な取組を短期集中で支援してまいります。

(3)国内外の観光客を惹きつけるコンテンツ造成

我が国は、観光に必要な4つの要素(気候、自然、食、文化)に恵まれており、これらの要素をフル活用することが有効と考えます。インバウンドのみならず国内旅行客にとってもより一層魅力と収益力のある観光地を実現するには、地域に眠る観光資源を磨き上げ、その価値を深く体感・体験できる滞在型コンテンツを造成する必要があります。例えば、国際競争力の高いスノーリゾート、日本の豊かな文化・自然を体験できるアドベンチャーツーリズムに加え、夜間・早朝時間帯や食・歴史も含めたコンテンツ等を創出していきます。

(4)観光地等の受入環境整備(多言語化、Wi-Fi整備等)

インバウンド回復までの期間を活用し、観光地等における受入環境整備を最先端技術も活用して一挙に進め、ストレスフリーで快適な旅行環境を実現します。具体的には、観光地や国立公園、文化財、公共交通機関等における多言語対応、無料Wi-Fiの整備等を進めるとともに、観光地等におけるバリアフリー化も促進してまいります。

(5)国内外の感染状況等を見極めた上でのインバウンドの段階的復活

インバウンドについては、国内外の感染状況等を見極めつつ、段階的回復に向けた取組を進める必要があります。具体には、感染状況が落ち着いている国・地域から、主催者がビジネストラックに準じた防疫措置を徹底した形での管理された小規模分散型パッケージツアーを試行的に実施してまいります。また、我が国の安全・安心への取組に関する情報や地域の魅力の発信を通じて今後の訪日意欲の喚起を図るとともに、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型のMICE開催の推進等にも取り組みます。

観光庁といたしましては、感染拡大防止策を徹底しつつ、我が国の観光の回復に政府一丸となって取り組んでまいります。

観光関係の皆様、国民の皆様におかれましては、今後とも観光政策にご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。

観光庁長官 蒲生篤実

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