政府、鉄道運賃に「変動制」導入を検討、2025年までに旅客向けWi-Fi整備を100%に、交通政策基本計画に盛り込む

政府は2021年5月28日、2021年度から2025年度までの「交通政策基本計画(第2次計画)」を閣議決定した。人口減少やコロナ禍による交通事業の経営悪化が深刻化するなか、地域公共交通の維持・確保、MaaSやバリアフリー化の推進、公共交通・物流分野のデジタル化、グリーンな交通の実現などを掲げ、多様な主体の連携・協業のもと、全力で取り組む方針。その内容から、注目すべき点をまとめた。

第2次交通政策基本計画で示した基本方針は、「誰もがより快適で容易に移動できる、生活に必要不可欠な交通の維持・確保」、「国の経済成長を支える、高機能で生産性の高い交通」、「災害や疫病、事故など異常時こそ、安全・安心が徹底的に確保された、持続可能でグリーンな交通の実現」の3つ。

赤羽大臣「鉄道変動制は十分な検討必要」

新たに取り組む施策のなかで、着目すべきは、鉄道の変動運賃制(ダイナミックプライシング)の導入検討だ。基本計画では、ポストコロナ時代におけるワークスタイルの変化や公共交通機関の利用実態を踏まえ、特に大都市において通勤時間帯などの混雑緩和促進目的で、変動運賃制の検討を盛り込んだ。

変動運賃制はすでに航空業界で導入されているが、同日開催した記者会見で国土交通省の赤羽一嘉大臣は、「ピーク時間帯しか利用できない人に対する配慮をはじめ、多くの利用者に多大な影響を及ぼす観点から、十分な検討を行っていく必要がある」などと述べた。

旅客施設の多言語対応やWi-Fi、2025年まで100%に

また、具体的な目標のひとつとして、観光やビジネスの交流拡大に向けた環境整備も盛り込まれた。訪日外国人旅行者数2030年6000万人の目標に向け、鉄道、バス、空港をはじめとする旅客施設での公衆無線LAN(Wi-Fi)整備率、多言語対応率を2025年度までに100%とし、受け入れ環境を整備する。

地方都市における国際線就航都市数は2019年の121都市から2025年は130都市へ、観光に関する新たなモビリティサービスに取り組む地方公共団体数も2020年の136件から2025年は500件に引き上げる目標も掲げた。このほか、移動そのものを観光資源とする取り組みの促進、ビジネスジェットの利用環境の改善なども盛り込まれた。

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