トラベルボイス記事の年間ランキング2021、今年1番読まれた記事は?

コロナ禍2年目となってしまった2021年が幕を閉じようとしています。今年もトラベルボイスの1年間を通した記事のアクセスランキングを発表します。昨年に引き続き、上位200記事に、通常期であれば年間アクセストップ20に入るアクセス数の記事がずらりという結果に。そのため、今年も上位200記事を対象に、特に未来につながるトピックスをピックアップしてご紹介します。 ※トップ10のランキングは最下部に記載

観光に求めれられる環境対策、グラスゴー宣言が始動

11月に開催されたCOP26で、ついに正式始動したグラスゴー宣言。世界の観光産業において、2030年までにCO2排出量を半減、さらに遅くとも2050年までに実質ゼロ達成を目指すというものです。

フランスでは、2021年7月に「気候変動対策・レジリエンス強化法」が成立。CO2排出量を減らす各種取り組みが定められました。観光分野では、鉄道で2時間半域内の国内航空路線は2022年3月までに廃止されることが決まっています。

また、グーグルはフライト検索でサステナブル度をユーザーに分かりやすくするマークを開始しました。

こうした動きは、遠い海外での出来事ではなく、早い段階で日本でも強く求められることになるでしょう。

日本でも世界とつながる航空業界での動きは早く、今年はJALとANAがタッグを組んで持続可能な航空燃料(SAF)の認知と理解を促すレポートを発表しました。ライバル同士である両社が共同歩調をとることは異例とも言え、環境対策が待ったなしの状況であることが読み取れます。

ホテル客室を利用した新しい企画が続々

GoTo再開がなく、観光事業者にとって厳しい環境が続いた2021年。コロナ禍の社会状況の変化で消費者ニーズが日々変わる中、新しい商品企画が続々と発表された1年でもありました。

国内でワクチン接種がスタートし、大規模接種会場が設置されると、接種会場近くの休憩拠点として提案するホテルのプランが登場。飲食店での外食がしづらい状況下では、ホテル客室を個室レストランとして利用するサービスも登場しました。また、テレワーク利用を見据えて、ホテル客室からベッドを取り外すホテルも。ホテルの客室を「泊まる」だけでない、「空間」としてとらえた提案が多くあったように思います。

また、世界ではコロナ禍が始まってからバケーションレンタル(一棟貸しの民泊)などでの長期滞在が人気を博しています。日本でも長期滞在ニーズが顕在化。「憧れのホテル住まい」を実現するプランも登場しました。販売開始直後に即完売ということも多かったようです。

不動産・ウィークリーマンションの仲介サイトに宿泊施設が掲載を開始し、さらに予約管理システム(PMS)でも連携が始まったことも印象的でした。

コロナ禍でデジタル化がすすみ、働き方や学び方が変わり、「旅と日常」の垣根が曖昧になってきています。従来からある観光のインフラは、アイデア次第で、まだまだカタチを変えたサービスになり得るのかもしれません。

変わるオンライン旅行の勢力図、注目はグーグル、ホッパー

世界のオンライン旅行でも、その勢力図に大きな変化がありました。2020年末、米国で上場したAirbnb(エアビーアンドビー)は時価総額が一時10兆円に。ブッキング・ドットコムやエクスペディア、マリオットとヒルトンを合わせた評価額も越え、2021年第3四半期には、売上高・純利益が過去最高を記録しています。

スタートアップでは、米国で最も人気のある旅行予約アプリに選ばれた「ホッパー(Hopper)」に注目が集まりました。日々、変動する航空券価格の動きを95%の精度で予測。2019年から提供開始した「プライス・フリーズ(価格凍結)」で事業が急拡大しています。最近は、BtoB事業でOTAやメタサーチに「価格凍結」機能を提供する新事業に本腰を入れ始めています。さて、来年は日本にもお目見えするのでしょうか。

そして、やはり今年もGoogleは旅行分野で活発な動きを見せました。ホテル、タビナカ体験の分野で、検索後にユーザーが事業者に直接予約できるリンクを無料開放。旅行事業者、政府、観光局向けに各国ごとの市場需要動向、宿泊施設向けにホテルの検索トレンドを提供も拡大しています。さらには、フライト検索でサステナブル度がわかる新機能も開始しました。Googleは、年々トラベル分野で存在感を大きくしていますが、ますます目が離せません。

トラベルボイス記事の年間ランキング2020 トップ10

ランキング10位までは以下の通りです。

1位 菅首相、1都3県の緊急事態宣言へ、GoToトラベル再開は当面困難(2021年01月04日)

2位 日本のワクチン接種証明書、発行手続きの概要が明らかに(2021年06月28日)

3位 日通旅行、3月末で営業終了、旅行業界のパイオニアがコロナで歴史に幕(2021年01月19日)

4位 星野リゾート代表が語った「インバウンドは簡単に戻らない」(2021年10月14日)

5位 政府、「卒業旅行」の自粛呼びかけ、ツイッターでトレンド入り(2021年02月03日)

6位 32県の知事がGoTo再開へ緊急要望、「クラスター発生の報告ない」(2021年03月19日)

7位 Googleトラベル、ホテル予約リンクを無料開放(2021年03月11日)

8位 旅館業法の見直し検討会、「宿泊拒否」「宿泊者名簿」の改正を訴え(2021年09月03日)

9位 雇用調整助成金の計上額トップはANA、オリエンタルランドやKNT-CTも上位(2021年03月02日)

10位 五輪取材の海外メディア記者が観光視察ツアーで見た東京(2021年07月27日)

今年もコロナ禍に翻弄される1年でした。ついに1年の間、GoToは再開されず、東京オリンピック・パラリンピックは、1年の延期を経て無観客での開催。感染拡大が収束したと思えば、変異株の登場。そして、年末には旅行会社による雇用調整助成金やGoTo給付金での不正受給が大きなニュースとなってしまいました。不正受給は許されることではなく、観光産業に対する不信感が膨らんでしまったことは残念で仕方ありません。信頼回復が急務です。 

コロナ時代、感染拡大期には「観光(移動)=悪」という世論が大きくなる傾向が続いています。こうした時にも観光事業を続けるためには、社会の信用は不可欠です。本記事の一つのテーマとなった観光産業の環境対策、サステナブル観光の実践は、観光への不信を払しょくするひとつの契機になるかもしれません。

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トラベルボイス編集部 山岡薫

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