カナダ最大の旅行業界商談会「ランデブーカナダ2023(RVC2023)」がケベック州ケベックシティで2023年5月30日(現地時間)に開幕した。完全な対面式で実施されるのは4年ぶり。世界29カ国から約400人のバイヤー、そのうち日本からは23人が参加。カナダのサプライヤー約900人やメディアを含め、1500人規模のBtoBイベントとなった。
記者会見でランディー・ボワソノー観光大臣兼准財務大臣は「カナダには世界が望むものがある」と話し、カナダが持つ観光の多様性をアピール。カナダにとって観光はナンバーワンの輸出サービスと位置付けたうえで、「フレンドリーなカナダ人と交流すれば、旅行者はまた戻ってくる」と続け、人と人とのつながりの重要性を強調した。
また、カナダ観光局(デスティネーション・カナダ)のマーシャ・ウォルデンCEOは、インバウンド市場について説明。カナダが2022年4月に完全に国境を開けて以降、「アジアの戻りは遅いが、他の主要市場は急速に回復している」との見解を示した。すでに、旅行者数は2022年末時点で2019年比で89%まで回復。世界的にインフレの懸念はあるものの、2023年末から2024年初頭には、完全に回復するとの見通しを示した。
さらに、「パンデミックは、人々は観光が地域コミュニティにどのような意義があるのか、再考するきっかけとなった。それはパンデミックがもたらした希望。観光業は、カナダ人の幸福に貢献していくものであるべきだ」と話し、DMOとしてデスティネーション・マネージメントの重要性に言及した。
日本市場の完全復活は2026年を予測
カナダ観光局によると、2022年の日本市場は、2019年比で現地消費額が25%、訪問者数が20%にとどまっており、同じアジア市場の韓国の現地消費額27%、訪問者数25%に遅れを取っているのが現状だ。
2023年の日本市場については、現地消費額53%、訪問者数51%の回復を見込み、2019年水準を超えるのは2026年と予想している。
また、カナダ観光局では、日本市場について、サステナブルツーリズムへの関心が高まっており、目的意識を持つ高付加価値旅行を求める旅行者が増えていると分析。そのうえで、自然、先住民観光、アドベンチャー体験など、地域コミュニティとのつながりがあるストーリーを伝えていくことが重要との認識を示している。
トラベルジャーナリスト 山田友樹