デルタ航空は2024年、アジア太平洋地域での座席供給量を35%増加する。来日した同航空アジア太平洋担当副社長ジェフ・ムーモー氏は、2023年の同地域の需要はコロナ前の75%まで回復したことを明かしたうえで、「今年さらに成長させていく」と意欲を示した。現在、全国際線ネットワークのうちアジア太平洋路線は約20%を占めている。
同航空は2018年5月から大韓航空と太平洋路線でジョインベンチャー(共同事業)を開始。アジア太平洋における戦略では、ソウル・仁川空港にハブ機能を集約し、日本では米国路線を成田から羽田へ移した。仁川からは大韓航空が日本の地方を含めて11都市に就航している。ムーモー氏によると、米国から仁川経由で日本に飛ぶ需要も増加しているという。
羽田からは現在、ロサンゼルス、シアトル、ミネアポリス、デトロイト、アトランタに加えて、2023年10月にはホノルル線にも就航した。
ムーモー氏は、ホノルル線について、「日本のアウトバウンドの回復は遅れているが、長期的な視点で取り組んでいく」とコメント。また、同航空日本支社長のヴィクター大隈氏は「レジャーの取り込みではオフピークが課題になる」としたうえで、「今年は日米観光交流年が後押しになる。海外旅行初心者への需要喚起がカギになる」との考えを示した。
同航空は、日本市場ではスケートボード金メダリストの堀米雄斗選手、サーフィン銀メダリストの五十嵐カノア選手を器用し、ブランディングを強化しているところ。今後、ホノルル便を訴求するキャンペーンや、日米観光交流年2024のサポートを計画しているという。そのうえで、大隈氏はターゲットとして「デルタ・プレミアムセレクトに搭乗する層」を挙げた。
顧客体験向上への投資を継続
また、ムーモー氏は「コロナ禍を経て旅行のスタイルも変わり、プレミアムな旅行への需要が高まっている」と指摘したうえで、今後も顧客体験向上への投資を継続していく考えを示した。その一つがデジタル体験。2023年、スカイマイル会員向けに高速無料Wi-Fiの提供を米国国内で開始したが、2025年には国際線用機材にも拡大する。さらに、専用アプリ「デルタ・シンク(Delta Sync)」では、カスマイズされた専用コンテンツの提供を強化していく。
さらに、羽田空港では2022年に「デルタ スカイクラブ」がオープン。米国以外では初のスカイクラブラウンジになることから、ムーモー氏は「日本市場重視の表れ」と位置付けた。
このほか、米国内で乗り継ぐ国際線旅客の手荷物再検査や再預け入れを不要にする取り組みについて、2024年第2四半期から仁川/アトランタ線でも試験運用を開始。今後、適用路線を拡大していく考えだ。