観光分野のCO2排出量、2019年比では12%減に ―世界旅行ツーリズム協議会

世界のホテルや航空会社、旅行会社など観光産業関連企業で構成される観光団体、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、オーストラリア・パースで開催された第24回「世界サミット」で、最新版の環境対策データを発表した。

それによると、2023年の世界の旅行・観光による二酸化炭素排出量の割合は全体の6.7%にとどまり、観光が過去最高を記録した2019年の7.8%よりも減少していることがわかった。

2023年の旅行・観光のGDP貢献額は9.9兆ドル(約1455兆円)。コロナ前のピーク時からわずか4%減と、パンデミック前の水準で、順調な回復を見せている。一方、二酸化炭素排出量は2019年比で12%減でGDPあたりの排出量も8.4%減少しており、旅行・観光分野での取り組みが進んでいることが明らかになった。

WTTCの会長兼CEOであるジュリア・シンプソン氏は「旅行・観光は経済的に拡大しながら、環境への影響も減らすことに成功している」と手応えを示した。

WTTC会長兼CEO ジュリア・シンプソン氏

旅行・観光の排出量の主な要因は、その事業の動力源として使用されるエネルギー。2023年、化石燃料エネルギー源(石油、石炭、天然ガス) への依存度は、2019年の90%から88.2%に低下。一方、低炭素エネルギー源(原子力および再生可能エネルギー)の割合は、2019年の5.1%から2023年には5.9%に増加した。

しかし、WTTCでは、再生可能エネルギーの使用の増加と化石燃料への依存度の削減は不十分であると示唆。より断固とした行動の必要性を指摘したうえで、各国は、観光収入をインフラの脱炭素化、再生可能エネルギーの拡大などを進める企業に投資すべきとの見解を示している。

※ドル円換算は1ドル147円でトラベルボイス編集部が算出

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