エイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役社長の矢田素史氏が、2025年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
矢田氏は、海外旅行が緩やかな回復となる一方、日本の観光地ではオーバーツーリズムの問題が一層浮き彫りになっており、観光の時期や場所の分散化、インフラ整備といった課題に関係各所とともに取り組んでいく考えを示した。
また、2024年に東京・新宿の旗艦店を31年ぶりに移転し「トラベルワンダーランド新宿」としてリニューアルしたことにもふれ、顧客とのコミュニケーションをより重視した仕様に変更するなど、この30年余りで旅行会社のあり方が大きく変化したことに言及。日々変わる社会の価値観やニーズに対応することの大切さを今一度認識し、HISグループだからこそできる「心躍る」価値を提供していきたいと力を込めた。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
年頭のごあいさつ
新春を迎え、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
2024年の旅行市場を振り返りますと、歴史的な円安や海外の物価高などの経済的要因に加え、不安定な国際情勢などから、海外旅行は緩やかな回復となりました。一方、円安の追い風を受けた訪日旅行は活況であり、訪日外国人旅行者数は過去最高の3500万人を超える見込みです。観光需要の再開に伴い、観光地ではオーバーツーリズムの問題が一層浮き彫りとなり、観光地の持続可能な観光地域づくりを実現することが重要な課題となっています。地域社会と旅行者のそれぞれが満足できる環境を整えるためには、観光の時期や場所の分散化、インフラ整備などの取り組みが求められています。当社はこれらの課題に対し、関係各所の皆様と共に取り組んでいく所存であります。
当社におきましては、東京・新宿の旗艦店を31年ぶりに移転し「トラベルワンダーランド新宿」としてリニューアルしました。当時はあたりまえだった対面型の店舗の仕様を、新店舗ではお客様とのコミュニケーションをより重視した仕様に変更するなど、この30年余で旅行会社の在りかたも大きく変化しました。我々は、単に移動や宿泊の手配をするのではなく、心に残る体験や感動を提供する役割を担っています。社会の価値観やニーズは日々大きく変化しておりますが、これらの変化に迅速かつ柔軟に対応することの大切さを今一度認識し、HISグループだからこそできる「心躍る」価値を提供し、すべてのステークホルダーの皆様から選ばれ続ける企業グループとなるべく、全社一丸となって精進してまいります。
今年はいよいよ4月より「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」が開幕します。「万博」は世界のさまざまな課題に取り組むために、あらゆる地域から英知が集まり、最先端技術の創造・発信と、新たなイノベーションを興す場として期待されています。大阪・関西万博が掲げるテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」は対話と共創による持続可能な成長ある未来への想いが込められています。技術面での向上はもちろんですが、何よりも大切なのは国際的な人との交流であると考えます。想定されている約350万人の海外からの来場者と、相互の理解と刺激を与え合いよりよい未来を創造していく場になるよう、当社もPRシルバーパートナーとして尽力したいと思います。
本年も引き続き、皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2025年元旦
株式会社エイチ・アイ・エス
代表取締役社長 矢田素史