世界全体で国境をまたぐ移動が徐々に戻りつつあるなか、慎重姿勢は堅持しつつも、明るい見通しも目立つようになってきた。
例えばグローバル企業トップによる業績報告や専門家による消費者動向の分析など。さらに旅行系スタートアップへの出資が、ここ数か月間で活発になっていることも明るい材料だ。
フォーカスライトが2021年末にまとめたスタートアップ関連レポートによると、2021年1月から第三四半期までに旅行系スタートアップが獲得した投資資金は50億ドル(約5750億円)。トラベル分野の未来への確信と、需要回復の流れを逃さずに利益を得たいとの思惑が交錯する。
昨年11月末に開催されたフォーカスライト・カンファレンスでは、ここ3年ほど毎年恒例となっている「2022年に注目のスタートアップ25社」が発表された。
選考に際しては、過去1年間の事業展開の勢いなどを考慮。パンデミックによる苦難をはねのける力、イノベーションや近未来の可能性を検討した。また、全般的にローンチからまだ5年以内と若いスタートアップに注目。創業者や本拠地、事業領域などが、なるべく偏らないようにすることも意識した。
その結果、今回リスト入りした各社が手掛けるサービスや業種は幅広く、例えばプライシングやレベニューマネジメントから空港、法人旅行まで。もちろんサステナビリティやインクルージョン、ブロックチェーンなど、引き続き要注目のトピックスも。パンデミックで一層、注目されるようになったオルタナティブ・アコモデーション(非ホテル型の宿泊施設。例えば民泊)関連もある。
リスト入りしたスタートアップ各社が手掛ける事業内容や2022年の目標の一部を、各社から寄せられたコメントをもとに紹介する。
2022年に注目のスタートアップ25社
Cabana:車中泊できる大型車レンタル予約
- http://www.cabana.life/
- 創業:2019年 本社:シアトル(米国)
- 事業内容:キャンピングカーを改装し、ベッドやキッチン、シャワー、Wi-Fiなど、快適に宿泊できる装備を加えた大型車のレンタル予約プラットフォーム。利用時のチェックイン・アウトなどすべてアプリ経由で完結する。1泊約200ドル。いつでも、どこへでも自由に移動できる上、ラグジュアリーな快適空間もある新しい旅を提案。旅程プランニング機能も追加した。2020年夏には、利用1万泊突破を達成。
- 2022年の目標:4人まで泊まれる大きい車両を新しく提供開始する予定で、展開車両数は300台、営業エリアは米国内8都市に。品質はより高く、使い勝手はより楽に、を目指し、例えば車内の全システムの管理機能を一本のコントローラーに集約し、アプリ経由でも操作可能にする。長期滞在やパッケージ商品など、様々なニーズに対応したい。
Data Duopoly:移動データで顧客分析
- http://www.cabana.life/
- 創業:2019年 本社:ファルマス(英国)
- 事業内容:移動データをもとに、訪問客を混雑していないエリアへ誘導したり、観光施設やデスティネーションのデータ・インサイト活用を支援。収益の拡大や長期的な計画策定に役立つ顧客分析など。エリア内の人々の現在位置をリアルタイムで把握するビジターフロー・マネジメントやフットフォール・トラッカー機能などを使い、混雑発生を未然に防ぐ。
- 2022年の目標:観光施設やデスティネーションにおいて、サステナブルかつ公平に観光が楽しめる状況が実現できるよう支援。移動データを活用することで、事業の成長は加速し、ビジネス獲得や顧客ロイヤリティ向上、さらに訪問者にとっても価値あるサービスが実現できる。
Femmebnb:女性のための民泊プラットフォーム
- http://femmebnb.com/
- 創業:2017年 本社:トロント(カナダ)
- 事業内容:ホストもゲストも女性限定の民泊。女性旅行者が抱える様々な問題を解決し、安心かつ快適な短期レンタル宿泊物件を取り扱う。女性ユーザー限定のデジタル・コミュニティ「HerCommunity」も運営。AIを活用しながら、旅行者やホストが交流する。利用料の一部は、アフリカの女性の月経対処支援に充てている。
- 2022年の目標:女性のための旅行コミュニティとしての基盤を固め、オンライン、オフライン共に多くの認知と信頼を得ること。またパートナーシップの拡大により女性旅行者が必要とする安全な場所の取扱いを増やす。パンデミックは打撃だが、サステナブルなローカル旅行需要は増えた。この分野に注力し、地域の事業者サポートにつながる旅行を目指す。
Flyzy:空港、航空会社、利用者をつなぐ
- https://flyzygo.com/
- 創業:2020年 本社:ニューデリー(インド)
- 事業内容:空港、航空会社、利用客をつなぐプラットフォーム。空港や航空会社のサービスや商品の取扱い、宣伝活動に加え、旅客一人ひとりに合わせてパーソナライズした情報(例えば利用予定便の最新状況など)を提供。搭乗客が必要とする機能をすべて網羅したワンストップ・プラットフォーム。完全にパーソナライズされ、ストレスのない空港利用体験の実現が目標。
- 2022年の目標:2022年末までに、インド各地に加え、北米、中近東、欧州、東南アジアの100以上の空港でサービス展開予定。空港利用者向けのオンライン・マーケットプレイスとしては世界最大になる。ユーザーの利便性アップに向けて、自動ウェブ・チェックインやユーザーどうしの情報交換など、新機能も続々登場する。
Frontdesk:アパートメント短期レンタル、ホテルも
- https://co.stayfrontdesk.com/
- 創業:2017年 本社:ミルウォーキー(米国)
- 事業内容:アパートメントの短期レンタル利用プラットフォーム。ホテルと民泊、それぞれの利点を取り入れ、安心・安全で、リビングやキッチンスペース付きで快適な750物件を取り扱う。SaaS方式のLevrソリューションを活用し、非接触型チェックインのほか、ゲストとホストをシームレスにつなげるようになったことが収益拡最大化やオペレーション拡大に寄与した。
- 2022年の目標:昨年は「米国で最も急成長しているプライベート・カンパニー」1位に選出(「Inc. 5000」調査より)されたが、取扱い軒数も利用者数もさらに増やす。米国内での展開エリアは10都市増の計45都市へ。顧客ロイヤルティ指標のNPSスコアは+67と業界最高レベル。これを維持するための社内向けイニシアチブもスタートする。
Gordian Software:事業者向けの付帯サービス販売ソリューション
- https://www.gordiansoftware.com/
- 創業:2017年 本社:シアトル(米国)
- 事業内容:航空リテール業務支援。OTA、TMC(法人旅行マネジメント)、航空会社、その他トラベル系事業者向けの航空関連アンシラリー販売ソフトウェア。
- 2022年の目標:まず当社チームの拡大。2021年は人員を倍増したが、2022年は3倍に増やし、拡大する需要に対応する。取引先にはプライスライン、シートリップ、ホッパー、ラストミニッツ・ドットコムなど大手が多い。こうした既存のパートナーシップ強化に加え、新規の提携企業も増える見込み。2つ目は、当社がサポートするプロダクトを増やし、取引の効率性をアップすること。ファミリー向けの追加販売、食事、ラウンジ利用、優先搭乗サービスなどの販売支援を追加する。
Kambr:航空事業の収益管理
- http://kambr.com/
- 創業:2018年 本社:アムステルダム(オランダ)
- 事業内容:航空ビジネスのレベニューマネジメント。航空会社出身のチームが開発したEddyレベニューマネジメント・プラットフォームは、シンプルで使いやすい。ビジュアルを駆使した表示などを用いて、利益最大化のポイントを分かりやすく工夫。自動化プロセスを用いることで、分析担当者がより重要な課題に専念できるようにしている。
- 2022年の目標:世界各地で航空需要は回復し、大きな増加の波もあると期待している。引き続き、顧客の期待を超える結果を出せる人材への投資を続ける。またマーケットの要望に応じた新機能の開発に向けてパートナーシップを強化。需要増に備え、新規顧客向けの導入プロセスの効率化にも取り組む。顧客の声、LCC市場のニーズを知り、革新的な新機能提供つなげる。
Kido Dynamics:ビックデータで位置空間分析
- https://www.kidodynamics.com/
- 創業:2018年 本社:ローザンヌ(スイス)
- 事業内容:テレコム・ビッグデータを使った位置空間分析。個人情報を保護しつつ、モビリティを中心にデータ分析し、クライアントが周辺環境について具体的に理解を深めるのをサポートする。「ビッグデータの民主化」を掲げ、その第一歩として、誰にでも分かりやすくシンプルであることを目指している。
- 2022年の目標:現在、8カ国でテレコムデータへのアクセスが可能になり、ソリューション展開がスタート。2022年末には年間経常収支300万ドル達成を目指す。プロダクト面での目標はフレキシビリティ。個々のデータを分割して提供可能な基本設計にすることで、企業の規模に関係なく使い勝手を良くする。それから価格面での柔軟性。もともとサブスクリプション型の料金体系だったが、2022年からは従量課金制に変えていく。
Local Purse:出かけられない旅行者と現地ガイドを仲介
- https://www.localpurse.com/
- 創業:2020年 本社:ストックホルム(スウェーデン)
- 事業内容:パンデミックで出かけられない旅行者と現地ガイドをつなぎ、手工芸品のショッピングや文化体験を楽しむライブ・ビデオの体験プラットフォーム。ターゲットは温暖化ガス削減や環境保全につながる旅行を求めている人、異文化交流を求めている人。SDGsの計6項目を支持した事業内容で、地域経済への波及効果は、他社利用の6倍。ソーシャルインパクトの高いスタートアップ。
- 2022年の目標:リテール業務の未来は、ライブ・ビデオ・ショッピングにあり。バーチャル文化体験とライブ・ビデオでのショッピングを組み合わせたグローバル規模のマーケットプレイス構築を目指す。資金調達してユーザーとパートナー事業者を拡大し、取扱いデスティネーションや体験内容を充実することが目標。
Miles:徒歩から公共交通まで移動マイルに
- http://www.getmiles.com/
- 創業:2018年 本社:レッドウッドシティ(米国)
- 事業内容:スマホで移動マイルを管理するロイヤルティ・プラットフォーム。車ではなく自転車や公共交通機関、あるいは徒歩で移動するなど、よりエコで健康的な移動手段を選ぶことがポイント獲得増になる仕組み。ポイントが使える小売事業者は250社以上。ギフトカードや寄付にも対応。
- 2022年の目標:リワードのパートナー事業者を増やし、世界各地で利用できるマーケットプレイスへと成長すること。将来的には、ペイパルやクリプト(暗号資産)、航空会社のマイレージプログラムとの連携も。次に、自治体や交通事業者との提携拡大。過去2年間、よりグリーンな移動を増やしたい市町村や事業者と提携してきたが、これを次のフェーズへと高める計画で、まず米オーランド市との新プログラムが決まった。交通事業者向けのB2B事業(顧客ブランド名でのリワード・アプリなど)も急拡大中だ。
ModiHost:AI活用のホテル予約管理
- https://modihost.io/
- 創業:2018年 本社:シンガポール
- 事業内容:AI技術を活用したホテルマネジメント・システム。SaaS方式なので、客室規模に関係なく、手軽かつ効率的に利用できる。ブロックチェーン技術をベースにして透明性を担保しつつ、宿泊客の好みやニーズを予測するパーソナライゼーションや収益の最大化など、ホテル運営の最適解を導き出す。
- 2022年の目標:スタートアップの場合、プロダクトの実用化では、まず非公開でユーザー限定のテストを実施し、フィードバックを収集。これをもとにデザイン修正と改良を繰り返すことを基本とする。プライベートベータユーザーからのフィードバックも踏まえてさらにサービスを洗練させていく。
MyStay:ホテル宿泊者への電子キー、追加販売のプラットフォーム
- https://www.gomystay.com/
- 創業:2016年 本社:プラハ(チェコ)
- 事業内容:宿泊客とホテルをつなぐゲスト体験プラットフォーム。自動対応のコミュニケーション、オンラインでのチェックイン・アウトや決済、電子キー、追加販売などの機能がすべて一つにまとまっている。レセプションでの手続きをコンタクトレス化できると同時に、スムーズでパーソナライズされたゲスト対応やきめ細かいケアも実現できる。
- 2022年の目標:資金調達ラウンドを成功させること。社員の新規採用、新しい商品開発の完成、既存プロダクトのアップグレード、パートナー企業とのシステム直接統合、その他、やることは沢山ある。
Nethone:サイバー攻撃、決済不正を阻止
- http://nethone.com/
- 創業:2016年 本社:ワルシャワ(ポーランド)
- 事業内容:クライアント企業をサイバー詐欺から守るソリューション。不正行為による問題解決、オンラインユーザーに対する理解を深め、不要な摩擦が生じるのを減らすなど。独自に開発した高度なプロファイル機能とマシンラーニングにより、ユーザーを識別し、決済における不正行為を効率的に阻止する。データサイエンティストやITセキュリティ専門家など、70人以上の社員を抱えている。
- 2022年の目標:サイバーセキュリティの重要性が高まるのに伴い、参入企業も増えており、資金力ある競合相手も。一方、サイバー不正行為は高度化しており、やるべきことは多い。想定される脅威や防御策についてのユーザー教育、幅広いプロダクト開発に取り組む。
NoiseAware:スタッフ介入なしで民泊の騒音問題を解決
- http://noiseaware.com/
- 創業:2015年 本社:ダラス(米国)
- 事業内容:民泊やホテル運営者にとって悩ましい騒音問題を解決するサービス。プライバシーを保護した騒音センサーが問題を感知し、自動的に問題に対応する。スタッフの介入なしなで騒音問題に対応できるのもメリット。
- 2022年の目標:宿泊中のゲスト間で起きる騒音問題を、ゲストのプライバシーに配慮しつつ、施設外からも把握できるようにし、リモート対応で100%解決できるようにしたい。ゲストや近隣住民に騒音測定などの手間を押し付けるべきではないし、勤務中のスタッフがトラブルに巻き込まれるのも避けたい。すべてノイズアウェアに任せてほしい。
Onfly:中小企業向け法人旅行アプリ
- http://www.onfly.com.br/
- 創業:2018年 本社:ベロ・オリゾンテ(ブラジル)
- 事業内容:ブラジルおよび南米エリアの中小企業向け法人旅行アプリ。出張手配、旅費管理、クレジットカード関連のソリューションを提供する。
- 2022年の目標:総予約高および利用者数ベースで前年比400%増が目標。今年末までに顧客数を800以上に増やしたい。重視しているのは、テクノロジーへの投資とインハウス・スタッフの教育。テクノロジーと旅行業の両方に精通した人材を採用するのは難しいが、社内スタッフの教育は可能だ。デジタルトランスフォーメーションの重要性がよく理解されるようになった昨今、商機は拡がっている。
ReTravel Technologies:オンライン旅行予約のユーザー分析
- http://retravel.io/
- 創業:2020年 本社:テルアビブ(イスラエル)
- 事業内容:旅行をオンライン予約するユーザーの動きを分析し、追加販売やクロスセールスにつなげるリテンション・マーケティングのソリューション。カスタマージャーニー全体を通じて、システムが自動的に顧客の購買動向を分析。サプライヤーの在庫や価格帯の中から好まれそうなものを探し出し、適切なタイミング、適切な流通チャネル経由で提案する。
- 2022年の目標:プロダクトやサービスのサプライヤー向け機能に磨きをかける。在庫の統一、コミッションの微調整、プロモーションや割引の付与などができるようにし、旅行者の満足度アップにつなげる。また、それぞれの利用客が必要とするアンシラリーが提案できるように精度を高めていく。
Road.Travel:ドライブ旅行を支援、電気自動車ルートなど
- http://road.travel/
- 創業:2018年 本社:ロンドン(英国)
- 事業内容:ドライブ旅行のためのデジタル・プラットフォーム。デスティネーション情報やモデルコースに加え、電気自動車で移動する人のための「電気」ルート作成、予約機能、予算に合わせた旅程の最適化、旅のアドバイスなどを網羅。DMOや観光局、自動車会社、メディアなどと共に、地域情報コンテンツを作成するデジタル・プロジェクトも手掛ける。
- 2022年の目標:ドイツのトップ自動車メーカーとの共同プロジェクトでは、車の位置情報に合わせて、周遊する各地の観光案内などが音声で車内に流れる機能を開発している。旅行者向けマーケティングの新しいチャネルであり、ドライブ旅行体験の新境地となるだろう。フランス、ドイツ、英国、米国ではB2C展開をスタート。ドライブ旅行をパッケージツアーのように簡単に楽しめるものにする。電気自動車の利用促進にも貢献したい。
RoomPriceGenie:ホテルの自動価格設定を支援
- https://roompricegenie.com/
- 創業:2019年 本社:スタインハウゼン(スイス)
- 事業内容:ホテルや宿泊施設向けの自動価格設定ソフトウェア。収益管理のプロではない人の利用を想定しており、洗練されたソリューションと使いやすさ、高度な計算機能が特徴。
- 2022年の目標:中小規模のホテルにとって最高のレベニューマネジメントを目指している。最近、獲得したシードマネーを投入し、営業・マーケティング活動に力を入れて認知度を高める。他の宿泊施設ソフトウェア・プロバイダーとの提携も継続し、年間売上の倍増ペースを維持したい。ホテル・テック・レポートでは97%と高いスコアを獲得しているので、引き続き、顧客やパートナー企業の予想を超えるプロダクトを作り、競合相手がひしめくホテル・テック分野にあって際立つ存在となる。
TapTrip:法人旅行プラットフォーム
- http://taptrip.com/
- 創業:2018年 本社:マンチェスター(英国)
- 事業内容:中小企業を主なターゲットとする法人旅行プラットフォーム。創業当初から、ビジネストラベル支援を「as a service」(従量制課金)方式で取扱う戦略を掲げてきた。
- 2022年の目標:新しくローンチするのは、銀行の法人営業部門を顧客に持つパートナーとの共同ブランド。安心安全な出張再開に向けて、TapTripの機能を付加価値として提供する。また法人旅行大手のATPIとベネルクス市場における提携を開始。その他、英国と米国でそれぞれトラベルマネジメント会社とのパートナーシップが動き出す予定。プロダクトの新展開では、海事運輸・エネルギー業者向けのクルー管理ツール「Vessul」が完成。米国とアジア市場ではマーケティング担当者を採用する。
Thrust Carbon:サステナブル旅行の支援ツール
- https://www.thrustcarbon.com/
- 創業:2019年 本社:ロンドン(英国)
- 事業内容:人間の行動が、地球の負担にならない世界を目指すサステナブルな旅行のための各種ツールを提供。気候変動問題に詳しい技術者を含む社内チームが、使いやすく、正確な温暖化ガス情報のプラットフォームを構築している。Novartis, S&P Global, HARMAN International、複数のトラベルマネジメント会社などを顧客に持ち、旅行を「エフォートレスリー・グリーン」(がんばらなくてもグリーン)にすることを使命に掲げる。
- 2022年の目標:昨年は、当社のフリーミアム(基本料金は無料、追加機能などは有料)の測定機能を利用しているユーザーが大企業10社弱、中小企業2000社となった。今年は旅行に伴う排出ガス・データの分野で世界最大手を目指す。世界レベルの危機こそ、イノベーションを大きく加速させるのだと実感している。
Travala:暗号資産を利用した旅行予約サービス
- http://travala.com/
- 創業:2017年 本社:チョーリー(英国)
- 事業内容:クリプト(暗号資産)を利用した旅行予約サービスを展開するOTA。ラグジュアリー市場に特化した新ブランド「Concierge.io.」も立ち上げた。宿泊、フライト、各種アクティビティなど計300万以上の旅行商品を取り扱う。仮想通貨取引所バイナンス(Binance)のバックアップにより、主要クリプト50種類以上が利用可能。予約の7割はクリプトによる支払いになっている。
- 2022年の目標:少しずつ旅行需要が戻り、クリプトの保有・利用者も増えているので、今年はビッグイヤーになるだろう。パンデミックにも関わらず、昨年は売上、予約数、パートナーシップなど多くの点で記録更新した。この勢いに乗り、ラグジュアリー市場向けOTAの顧客を前年比500%増に拡大し、ホテルとの直接契約、NFT(非代替性トークン)のユースケースを増やす。充実した選択肢とフレキシビリティを提供していく。
TrovaTrip:団体旅行のプランニング・管理
- https://www.trovatrip.com/
- 創業:2017年 本社:ポートランド(米国)
- 事業内容:団体旅行プランニング・管理のマーケットプレイス。世界40カ国で展開しており、団体旅行のホストを務めている人は300人以上。インフルエンサー、各分野の専門家、中小事業者などが、顧客やオーディエンスのために旅程を練り、旅を通じて交流を深めている。2021年末から2020年末までに予定されている旅行は400本以上。
- 2022年の目標:再び旅行が始まるなか、当社のチーム強化、顧客対応やプラットフォームの充実に投資し、ホストや旅行オペレーターにはさらに画期的なツールを、旅行者には「一生に一度」の素晴らしい体験を提供していく。目標は、旅行をより安全で、アクセシブルにすること。
Vacayou:健康、アクティブに特化した旅行予約
- https://vacayou.com/
- 創業:2019年 本社:タンパ(米国)
- 事業内容:「ウェルネスとアクティブな旅」に特化した予約プラットフォーム。健康志向の旅行者が、妥協することなく満足できる理想のバケーションを標榜。世界トップレベルの評価を獲得しているリゾートやデスティネーションを揃え、独自データやパーソナライズ用ツールも提供している。
- 2022年の目標:より多くの人が安心して旅行を再開できるよう支援。特に力を入れるのは顧客の拡大、ヘルシーな旅行の在り方について啓蒙を続けること、そして当社ならではのバケーションの品揃えを充実させること。会員制クラブもスタートしており、パーソナライズ機能や技術インフラも強化していく。
Wheel The World :アクセシブル旅行の予約サイト
- https://gowheeltheworld.com/
- 創業:2018年 本社:バークレー(米国)
- 事業内容:障害があっても、誰もが世界中に出かけて楽しめるアクセシブルな旅の実現を目指すOTA。最新のアクセシビリティデータモデルを構築し、障害のある人や同行者の役に立つ宿泊施設やアクティビティ情報、複数日間の旅行を取り扱う。
- 2022年の目標:サイトに掲載しているサプライヤーのリストを増やすこと。米国を中心に、3000軒以上を目指す。また、アクセシビリティに関するニーズのある旅行者が、当社プラットフォームを介して、もっと旅を楽しむようになること。目標は少なくとも6000人以上。オンラインのホテルや旅行会社のアクセシビリティ認証制度も設計する予定。
Youtip:デジタルでチップ支払いなど決済新サービス
- https://www.youtip.money/
- 創業:2020年 本社:シカゴ(米国)
- 事業内容:労働者のための「ファイナンシャル・ウェルネス(健全なお金の習慣作り)」支援を目指し、デジタルでのチップ支払いツールなど決済サービスを手掛ける。
- 2022年の目標:昨年は、デジタルでのチップ支払いソリューションを実用化し、従業員の採用・定着に悩む飲食店などの経営者を支援する仕組み作りや、従業員の収入安定化をサポートしてきた。今年は、従業員のファイナンシャル・ウェルネスと安定した健康な生活を支援するために、貯金や投資、賢いお金の使い方を自動的に促すようなモバイル・ソリューション提供にフォーカスする。デジタル化は決済のスピード化を進め、便利にしてくれるが、同時にスローマネー(長期に渡る貯蓄など)の役割も重要だ。両方のバランスがとれるような機能提供を目指す。
※ドル円換算は1ドル115円でトラベルボイス編集部が算出。
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:WELCOME TO THE HOT 25 STARTUPS FOR 2022