
今年70周年を迎えるKNT-CTホールディングスは、従来から推進してきたグループ内の既存事業とともに、特に訪日事業、地域共創事業に注力する方針だ。このほど開催した記者懇談会で、同社の小山佳延代表取締役社長が方針を示した。
成長事業として位置付ける訪日事業については、海外拠点の機能強化と再構築をおこなうことで海外から日本への送客を推進する。具体的には、これまで、同社の取り扱う海外旅行商品における旅行者の現地サポートを中心としてきた海外拠点の役割を「日本への送り手に転換」(小山社長)。既存の事業拠点を発地として、グローバルMICE営業、訪日旅行商品の販路開拓、国際交流事業の協業先開拓、国内観光地のプロモーションをおこなう。
また、訪日旅行を専門とする新たな拠点も開設する。2025年度には、アムステルダム、ロサンゼルス、シドニーで活動を開始し、2026年度以降に東南アジア、中東にも拡大する計画。さらに、近鉄グループの海外ネットワークとも連携し、グローバル拠点網の構築を図る。
国内での地域共創事業では、「行政、地域の関係者と連携し、地域の観光経営に長期的にコミットする」(小山社長)。クラブツーリズムと近畿日本ツーリストが一体で、DMCとして包括的な観光サービスの開発・提供を目指し、地域活性化に寄与する考え。特に、クラブツーリズムのテーマ性をもった誘客力、自治体との連携による独自イベントの実績を強みとして、インバウンドと国内の着型観光の両輪で地域への誘客をおこなっていく。
また、地域の特産品を海外などに発信する旅行外の事業にも注力し、小山社長は「観光にとどまらずさまざまな地域課題を解決するサービスの総合商社を目指していきたい」と力を込めた。海外ネットワークとのシナジー創出、独自のDMCモデルを作り、日本各地に横展開を目指す。
小山佳延代表取締役社長
創立70周年、蓄積したデータでAI活用
KNT-CTホールディングスは、今年、1955年に「近畿日本ツーリスト」として創業してからで70周年の節目を迎える。これにあわせ、「70周年記念サイト」開設など、さまざまな情報発信や特別企画などを展開していく方針だ。
同会であいさつにたった米田昭正代表取締役会長は、今後、これまで蓄積してきたデータが、今後強みになる点を強調。同社では、教育旅行のコンテンツ、クラブツーリズムが保有する顧客データ、造成してきた膨大なツアー情報などを保有している。
米田会長は、「生成AIなどデジタル分野で新たな動きが出ている。このデータをAIに学習させていくことで、新たな価値を生み出していきたい」と話し、今後の事業推進に活かしていく意欲を示した。米田昭正代表取締役会長