欧州連合議会が2022年6月9日に、EU27カ国、ノルウェーおよびアイスランドを出発するすべてのフライトに二酸化炭素排出権取引システム(ETS/Emissions trading system)のルールを拡大する必要があると表明したこと対し、国際航空運送協会(IATA)は、批判を強めている。航空会社が排出量を相殺するためにクレジットを購入する「CORSIA」と呼ばれる国際協定を損なう可能性があるとの主張だ。
ETSは、企業などに二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出上限枠が設けられ、上限を超えた場合は排出枠を購入しなければならない取り決めのこと。現在、このルールはEU域内のフライトのみに適用されているが、IATAは、計画どおりに拡大すれば、「競争の深刻な歪みを引き起こし、欧州の航空会社の競争力を弱め、欧州の空港は世界的なハブ機能を損なうことになる」と警告。IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、EU諸国に対してこの計画を拒否し、航空排出量に関する国際的な交渉で決めるように求めた。
現在、EUの航空会社は2027年までカーボンクレジットの半分以上を無料で取得できるようになっているが、欧州連合議会はその期限を2025年までに短縮すべきだとしている。