観光DX2023レポートを発表、基礎知識から国内外の最新事例まで、ダウンロード無料 ―トラベルボイスREPORT

世界的にデジタルを活用した変革サービスが従来型ビジネスに風穴を開け、日本でもDX推進によって、旅という非日常の体験の魅力をデジタルの力でさらに高めようという取り組みが進んでいる。そもそも観光DXとは何か?どのような要素が重要なのだろうか。

トラベルボイスでは、昨年発表した同テーマのレポート内容を改訂するとともに、独自に最新情報を調査。「観光DX」の概念の誕生の背景や観光庁の取り組み、国内外ですでにイノベーションを起こしている最新事例を紹介する調査レポートとして新たにまとめた。その概略を紹介する。

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デジタルがもたらす、3つの「提供価値」の変化

そもそもDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、2004年にスウェーデンの教授が「ICT(情報通信技術)の浸透が人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させること」と提唱した概念だ。

日本政府は、デジタルを活用した(1)外部の劇的な変化への対応、(2)内部の変革、(3)土台となるデジタル環境の利用、(4)新しいビジネスモデルの創造、(5)顧客体験の変革と付加価値の創造、と定義している。つまり、DXは「変革」を伴うものであり、従来アナログで作業していた作業をデジタルに置き換えただけであれば、それは単なる「デジタル化」に過ぎない。

DXが活発になった背景には、既存のビジネスモデルに対し、デジタルを活用した「創造的破壊」(デジタル・ディスラプション)が起こり、新たな変革サービスが登場した経緯がある。イノベーター企業が新たなコスト構造に適した形のビジネスモデルを構築し、既存企業の存続を困難にさせているのは周知のとおりだ。

たとえば、民泊で知られるAirbnb(エアビーアンドビー)がホストとゲストの交流を促し、世界190カ国以上で利用可能にしたように、デジタル化は「コスト」「エクスペリエンス」「プラットフォーム」の提供価値に変化をもたらした。

デジタルがもたらす、3つの「提供価値」の変化:トラベルボイスREPORTより

浮かび上がった3つのチェックポイント

一方で、日本の観光産業はDXをどうとらえているのだろうか。

観光庁は観光DXへの対応について、消費、経営、生産性、人材育成をキーワードとして挙げ、地域創生の切り札と位置づけている。ただ、業種別にDXへの取り組み状況をみると、情報通信業が45%を超えているのに対し、宿泊業や飲食サービス業、生活関連サービス業といった「観光・旅行周辺産業」は14~19%とその差は歴然としている。

そのため、観光庁は地域全体でDXを推進し、観光客に関するデータを分析・活用する仕組みの構築が重要としている。個別事業者のDXと観光地のDXが連携してこそ、「データドブリンな観光地経営」が実現するわけだ。

また、これまで実施された観光庁の実証事業によって、「デジタル技術の導入自体が目的化していないか」「旅行の前後を含む流れを意識できているか」「地域関係者が意欲的に取り組めるか」という3つのチェックポイントも明らかになってきた。

すなわち、観光DXを成功させるためには、一貫したコンセプト設計、データコンテンツの蓄積・共有・活用、地域を巻き込む体制構築が重要であるとともに、ターゲット、提供価値、開発/活用技術、事業主体、適用地域の5要素の拡大が期待されている。

観光DXを推進するための「3つのチェックポイント」:トラベルボイスREPORTより

国内外の最新事例を紹介

では、より具体的に、観光産業において今後イノベーションを起こすようなテクノロジーはどのようなものがあるか。

近年、旅行とモビリティ分野で成長しているのがタビナカ支援、陸上交通、ホスピタリティ、航空、スマート・観光地想起・予約の5分野。国内外の新興企業の取り組みをいくつか紹介しよう。

神奈川県鶴巻温泉の陣屋は、いろいろなものをセンサーやネットでつなぐことで、遠隔でヒトに働きかけている。たとえば、客室の入り口にセンサーを設置することでお客様が部屋を出るとそれを感知し、自動でタブレット端末上にポップアップ通知。レストランなどであらかじめ待っておくことなども可能になった。デジタルの力により、最少の人数でホスピタリティを向上させている好例だ。

城崎温泉で有名な豊岡観光DX推進協議会は、エリア内の宿泊施設が豊岡観光DX基盤へと日程、人数、金額、居住地などの情報を提供し、エリアの需要予測を実施。需要予測による価格の見極め、自社と地域を比較しプランを調整するなど、すでに効果を上げている施設も存在している。

海外事例では、航空券や旅行費用の後払いの仕組み「FlyNowPayLater」や、旅行の際に部屋を貸し出すことで、利用の可否に関わらず、収入を得ることができるバケーションレンタルサービス「Leavy」なども紹介している。観光、テーマ、トレーニングを含んだ全世界1200以上のルートを提供。ヘッドフォンを付けて走ることで、GPSと連動し観光情報を解説、アプリからホテルやレストランの予約もできる。ランニングに特化したアプリは数多く存在するが、旅先のランニングに絞ったものは珍しく、旅行体験の付加価値を高める新たなイノベーション事例といえる。

こうした数々の最新事例に加え、気候変動にインパクトを与える観光関連スタートアップの一覧、NFT活用事例などの参考資料も必読。調査レポートは、以下からダウンロードできる。

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