アジアのタビナカ最前線、カギは「没入感」「直販予約の整備」「コミュニティ」、国際BtoBイベントで語られたことは?

タビナカ体験の国際BtoBイベント「Arival (アライバル)」が2023年6月12~14日、タイ・バンコクで開催された。イベントには世界をリードするタビナカ体験事業者が集まり、今後の需要傾向や市場動向などについて議論を交わした。

カンボジア「ファレ・サーカス」、没入感のある体験を

カンボジアで現地体験を提供しているファレ・サーカス(Phare Circus)セールス・マーケティング担当シニアディレクターのクレイグ・ドッジ氏は「旅行者は、タビナカでより没入感のある体験を求めている」と話し、旅行業界に対して「その変化する需要に即座に対応するべき」と提言した。

同社は、カンボジアに帰国した難民によって小さなコミュニティスクールとして設立されたが、その後、カンボジアの文化と才能を紹介するエンターテイメント施設に成長。外国人旅行者を多く受け入れている。

ドッジ氏は「今の旅行者は、魅力的で本物の地元の体験を楽しみながらも、地域コミュニティにポジティブな影響を与えたいと考えている。そのために私たちは現在、単にショーのチケットを販売するだけでなく、旅行者が学校などの地域施設の開発に直接資金を提供できる仕組みを作った」と紹介したうえで、「他の旅行会社に対しても、今すぐ自社のサービスを再考するよう強く勧めたい。そうしないと取り残される危険がある」と警鐘を鳴らした。

同社は、より没入感のある体験を提供するために、複数のプログラムを変更した。まず、飲食サービスでは、着席式のダイニングから会場周辺の屋台での食事体験に変更。サーカスのワークショップを開催し、基本的なテクニックを学ぶ機会も設けた。さらに、バックステージツアーを企画し、アーティスト、衣装、技術者の裏側を見せるようにした。

ドッジ氏は「タビナカ体験事業者は、旅行者にとっても地域社会にとってもより良いサービスをどのように提供できるかを検討する必要がある。 どちらも強力なセールスポイントになるはずだ」とコメント。「予約機能を備えたウェブサイトでブランドと販売を管理し、直販とともに、OTA、DMC、旅行代理店、地元パートナーなど多様な流通チャネルとバランスをとりながら、販売する必要がある」と自社によるオンライン予約体制の整備もアドバイスした。

クルック、予約数はコロナ前の2倍、旅先トップは日本

香港のクルック(Klook)のウィルフレッド・ファン氏は、アジア太平洋地域での海外旅行での現地体験分野の大幅な成長を予測。Z世代やミレニアル世代など体験に飢えた旅行者を引きつけるために新しいデジタル分野への投資の重要性を強調した。

ファン氏は「予約数は新型コロナ以前の水準の2倍以上に増加しており、海外旅行は堅調な成長を見せている」と話す。特に日本への旅行については、「過去3か月間、旅行先としてトップの地位を保っている」と明かした。現在のところ、アジアの需要は、韓国、台湾、香港、シンガホールからの旅行者によるアジア域内の旅行によって支えられているという。

TUI、クルーズの寄港地ツアーが大きなチャンス

TUIミューズメントは、ツアー&アクティビティ事業のなかでもクルーズの成長について言及。2023年の世界における乗船者数は、2019年比106%の約3150万人にのぼり、2027年までに約4000万人に増加すると試算している。

主要クルーズ会社は現在計44隻を発注・造船しており、2023年にはそのうち14隻が就航する予定。クルーズ船の供給量も増加し、全収容人数は2022年から2028年にかけて19%増加すると見込まれている。

クルーズ会社が注力してるのは、長期滞在の旅程を設定し、寄港地でより没入感のある体験機会を提供することだ。同社APACサプライ・マネージメント担当ディレクターのグレン・タン・ユ・シン氏によると、パンデミック前には、世界で約4400万件の寄港地ツアーが販売され、その市場規模は約30億ドル(約4200億円)になったという。

2019年はおよそ400万人のクルーズ旅行者がアジア各地を訪れたと言われている。同氏は「アジアのクルーズ市場は回復しつつあり、クルーズ会社にとっては大きなチャンスとなっている。クルーズ会社は、タビナカ事業者に新しい販売チャネルと新しい顧客を提供している」と話したうえで、「クルーズは毎年決まったシーズンに寄港し、下船する旅行者も保証されることから、タビナカ事業者にとってメリット大きい」とまとめた。

※ドル円換算は1ドル140円でトラベルボイス編集部が算出

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