埼⽟県川越市、「旅先納税」を開始、ふるさと納税実施者が多い関東圏の来訪者に期待

埼⽟県川越市は、eギフトプラットフォーム事業を展開するギフティ社が提供するデジタルプラットフォーム「e街プラットフォーム.」を採⽤し、市内での「旅先納税.」を開始した。返礼品として寄付額の約3割相当となる電⼦商品券「⼩江⼾かわごえe旅ギフト」を発⾏する。開始時点で、飲食、宿泊、体験、物販などの56事業者、76店舗が加盟。10月の「川越まつり」に向けて100店舗の加盟を目指す。

「旅先納税」とは、旅⾏を楽しみながら地域経済に還元することができる仕組み。受け取りや利⽤で、アプリなどのダウンロードは必要なく、会計時は1円単位で利⽤することができる。ギフティ社の「旅先納税」は、川越市を含めて全国で34自治体で導入。関東圏では川越市が初となる。同社では、今年中に60自治体への拡大を見込んでおり、2025年には250自治体まで広げていきたい考えだ。

川越市の川合善明市長は発表会見で、「旅先納税は、これまでふるさと納税の対象にならなかったサービスが返礼品となるため、川越市のサービス業の発展にもつながる。また、飲食など加盟店での消費によって、他産業への波及効果も期待できる」と話し、新たな観光誘客の仕組みに期待感を示した。

また、加盟店募集とプロモーションを担うDMO川越の京野弘⼀理事長は、「旅先納税は、地場産品の消費拡大に寄与する。地域の稼ぐ力を強めることにもつながる」と話した。

返礼品券種は、寄付額5000円(返礼品1500円)~30万円(返礼品9万円)までの7種目を用意。川越市では、「⼩江⼾かわごえe旅ギフト」の発⾏を記念して、2023年10⽉2⽇~11⽉30⽇の期間、認知拡⼤と来訪者の向上を⽬的に「⼩江⼾かわごえe旅ギフト アンケートキャンペーン」を実施する。アンケート回答者を対象に500円の「⼩江⼾かわごえe旅ギフト」を1000枚を交付する。さらに、9⽉26⽇~11⽉25⽇には、ブランジスタメディアが運営するWebメディア「旅⾊」とのコラボでフォトコンテストを実施する。

川合川越市長(左)とギフティの森氏

ふるさと納税未実施者による利用拡大も見込む

川越市によると、2022年のふるさと納税額は、件数が前年比208%増の1万9403件、総額が同187%増の4.5億円。10月からふるさと納税の運用が厳格化されるが、旅先納税については影響はないとの認識を示した。

また、川越市への入込観光客数は、コロナ禍で大きく落ち込んだものの、2022年は551万人まで回復。しかし、2019年の776万人にはまだ届いていない。

ギフティによると、ふるさと納税の控除適用者数は毎年右肩上がりで増加し、2023年度は約891万人に増える見込み。しかし、ポータルサイトなどを通じた実施者は全体の約14%で、約86%は未実施者というのが現状だ。ギフティの森悟朗常務執⾏役員は、「e旅ギフト」は利用が容易なことから、その未実施者による利用拡大も期待できるとの考えを示した。

また、ふるさと納税の実施者の44%が関東圏。一方、川越市への観光客のうち88%が関東圏からの来訪であることから、「川越市には旅先納税でアドバンテージがある」との見解だ。

今後は、納税者ではないインバウンド向けにも、返礼品という建て付けではなく、商品券という形で提案していきたい考え。

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