三井住友カードは、訪日外国人のクレジットカード消費動向レポートを公開した。同社が保有するキャッシュレスデータをもとに決済金額の規模や増減率を時系列、国・地域、業種別などで分析したもの。
これによると、クレジットカードの決済データからみた2024年1~11月の訪日外国人による決済額は、コロナ禍前の2019年同期比50.4%増、前年同期比55.3%増と、訪日客数の増加以上の伸びをみせた。特に、宿泊や飲食関連が成長をけん引した。
なお、日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年1年間の訪日外国人旅行者数(推計値)は3686万9900人で、伸び率は2019年比で15.6%増、前年比で47.1%増だった。
地域別の決済金額の規模はボリュームゾーンの関東、近畿が引き続き8割以上を占める一方、2019年同期との比較では東北地方のシェアが0.3から0.5に高まっている(177%増)。2023年同期比では中部の成長率が高く、86.3%増。関東、近畿を比較すると、2019年同期比では関東の伸び率が高い一方、2023年との比較では近畿の伸びが勢いを増している。
国・地域別で決済額をみると、2019年は中国が全体の約6割を占めていたが、2023年以降は約2割となり、アメリカ、台湾、韓国、香港などが存在感を増している。シンガポールはコロナ禍前には構成比で1.6%だったが、2024年には4.3%まで拡大した。訪日旅行の人気の高まりに加え、為替要因が影響している。
業種別ではホテル・旅館、飲食店・レストラン、テーマパークでの消費が好調。空港店舗も2019年同期比で97.4%増と伸長した。免税店は2019年同期比では16.9%減にとどまったが、前年同期比では137.6%増と業種の中で最も成長率が高かった。
こうした結果から、同社は「国別の決済額構成比では、2019年との比較で中国人観光客以外の割合が高まり、決済額も増加していることから、より一層多様な国の訪日外国人に対応するためのサービスや商品の需要が高まるだろう。一方、百貨店や免税店などのモノ消費が多い中国人観光客の回復が見られるため、再び訪日外国人決済額の国別・業種別の構成比に変化を及ぼすことも考えられる」とコメントした。