ANA、海外旅行再開の切り札に向け、デジタル健康認証アプリ「IATAトラベルパス」の実証開始、ニューヨーク線とホノルル線で

ANAは2021年5月24日、羽田発ニューヨーク行きの便(NH110)でデジタル健康認証アプリ「IATAトラベルパス」の実証実験を開始した。今後、6月6日かけて、羽田/ニューヨーク線に加えて、羽田/ホノルル線でも搭乗者から参加者を募集し実証を行う。

IATAトラベルパスは、国際航空運送協会(IATA)が開発した新型コロナウイルスの検査結果を証明するアプリ。同社国際提携部部長の松下正氏は「各国の入国要件が変化するなかで、IATAトラベルパスは最新の情報がタイムリーに反映されるため、スムーズな出国/入国手続きが可能になる」と説明。今後は、関係省庁とも連携を深めながら、航空業界全体として導入に向けて取り組みを進めていく考えを示し、「海外旅行再開の切り札として、できるだけ早く実用化を実現していきたい」と意欲を示した。

NH110の搭乗口で取材に応える松下氏NH110便での実証参加者は1人。同日21:55発のホノルル便(NH186)では6人が参加。現在までのところ、計30人が応募しており、往復での参加者も含めると計50回の実証が行われる。実証期間終了までにさらに応募は増える見込みだという。ANAでは、ユーザーのニーズを洗い出し、実証から出てくるさまざまなフィードバックを踏まえて、改善を進めていきたい考えだ。

NH110便の実証参加者は、出発の2日前に指定医療機関のひとつである東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニックでPCR検査を受け、同日中にIATAアプリで陰性証明を受け取った。このほか、現在のところ都内のクリニックフォア3ヶ所(田町、大手町、飯田橋)が指定医療機関となっている。

参加者は、チェックイン時に、陰性証明を含め渡航先の入国要件を満たしていることを示す画面を提示した後、搭乗券を受け取った。実証段階では、旅客システムと連携していないため、オンラインチェックインはできず、カウンターでアプリを提示する必要がある。また、政府機関との連携も進んでいないため、出入国手続きは対象外となる。

要件をすべて満たすと画面上にグリーンで「OK to travel」と表示されるIATAトラベルパスの実証実験には現時点でANAやJALも含めて航空32社が参加。航空に特化した非接触デジタル健康証明アプリとして導入を目指す。

一方、ANAは、航空以外での利用も視野に入れる「コモンパス」の実証も進めているところ。「旅行者に安心感を担保する環境を整えていくことが重要」(松下氏)との考えから、IATAトラベルパスとコモンパスの両軸でデジタル健康証明の実用化を進めていく方針だ。

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