JTB山北社長「観光産業が日本の経済を支える」、通期決算は黒字化が確実、新春パートナーイベントで

JTBは、2023年1月12日に都内でパートナーイベント「JTB Group New Year Partnership Meeting 2023」を開催した。3年ぶりのリアル開催となった同イベントには、宿泊、交通、観光局など提携する観光分野のパートナー約400名が参加。代表取締役 社長執行役員の山北栄二郎氏が登壇し、観光産業を取り巻く環境や同社の取組みを語った。

そのなかで、山北氏は、昨年の中間決算で示された通期決算の黒字見通し(営業利益63億円見込み)について、「黒字化が確実になった」と明言。順調に業績が回復していることを明らかにした。

また、世界規模で観光再開が進み、日本でも昨秋からの国境再開と全国旅行支援開始によって国際、国内ともに回復基調にあるなか、山北氏は「国際交流の再開を支えるためには、日本からの海外旅行の復活が重要」と指摘。「コロナ禍前の水準に復活するには時間がかかるが、状況を見ながら可能な取り組みを再開していきたい」考え。今年3月には3年ぶりにホノルルフェスティバルを開催し、今後は海外旅行の機運醸成や世界各地の旅先のプロモーションを展開するなど「海外旅行を通じた国際交流の再開に貢献していく」考えを示した。

JTB代表取締役社長執行役員の山北栄二郎氏

観光産業が経済を支える、DXは観光の課題解決に重要

今年、世界の実質GDPの成長鈍化や景気減速が避けられないなか、山北氏は「回復基調にある観光産業が経済を支える」と意気込む。その前提として対処すべき3つの課題に「オーバーツーリズム」「人材不足」「DX」を挙げた。これらはコロナ前から顕在化していたが、現在では深刻化しており「サスティナビリティの観点からも取り組みが必要」(山北氏)と指摘。そのうえで同社が各種の取組みを行っていることを紹介した。

オーバーツーリズム対策ではエリアや旅行時期の分散化や高付加価値化(アドベンチャーツーリズム推進など)、人材不足では直接的な人材供給とDXによる間接的な貢献をあげた。特に人材不足への本質的な対処として「産業としての魅力を高めていくことが何よりも重要」との考え。他産業への人材流出を防ぐためにも、企業が経営や雇用環境を改善し「ツーリズム産業の社会的重要性を訴求していかなければならない」と呼びかけた。

DXは、観光産業の復活や人材不足を解消するためにも重要との考え。JTBが取組むデジタル化支援では観光事業者の経営効率化のためにサプライチェーン全体をつなぐツーリズムプラットフォームを構築。観光地経営の高度化では、地域共創基盤を提供し、データ活用・分析によってデジタルマーケティングの高度化で旅行者ひとりひとりに最適な提案を可能とする。

同社ではコロナ禍の間、「グループ一丸で交流再開を信じて世界のネットワークを維持してきた。」(山北氏)。これらのネットワークを強みとして、山北氏は「より多くのつながりを生み続けることで社会に貢献していきたい。本当に価値を感じてもらえる価値を作る。」と語った。

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