ANA、国際線の新ブランド「Air Japan」発表、まずは東南アジアへ、FSCとLCCの中間、サステナブルな制服や機材も

ANAは、国際線新ブランドとなる「Air Japan」の座席仕様、制服、機内BGMなどのサービス概要を発表した。Air Japanは、ANAグループのエアージャパンを発展させ、新たなブランドとして就航するもの。昨年3月に立ち上げを発表し、2024年2月の就航に向けた準備を進めている。

峯口秀喜社長は発表会見で「日本らしい『発想』と『品質』にこだわり、フルサービスキャリア(FSC)でもLCCでもないブランドとなる」と説明。成田を拠点としてまずは東南アジア路線に就航する。具体的な就航地については、「需要の太い路線。発着枠の関係から今年夏頃に決める」と明言は避けた。

また、中期的には、2025年の大阪・関西万博を見据えて、関西国際空港にも就航する計画。関西はANAグループのPeach Aviationが拠点に東アジアに路線を張っているが、「棲み分けは可能」との考えを示した。関西の拠点化は想定しておらず、「たとえば、成田/東南アジア/関西/東南アジア/成田のルートもありえる」とした。

Air Japanは、LCCとは位置付けていないものの、そのビジネスモデルのカギは、「LCCと同様に機材のローテーションを密にするところ」(峯口社長)。そのため中距離に加えて、その間を埋める短距離国際線も検討していく。

需要については、アジアからのインバウンドに注力する方針。就航地決定後は、就航地で発表会などを開催し、海外マーケティングを強化していく考えだ。さらに、成田と関西でPeachとも連携した需要創出にも取り組む。すでに、コールセンターの共用化の準備を進めているという。

峯口社長は収益分岐点についても言及。「FSCが搭乗率60~70%、LCCが70~80%が一般的だが、Air Aapanは、その中間を目指す」と話し、昨年3月に掲げた就航3年目での黒字化については、「変わっていない」と強調した。価格については、「アジアのFSCとの競争に勝っていく水準を設定していく」考えだ。

サービス概要を説明する峯口社長。Air Japanのブランドコンセプトは「Fly Thoughtful」。

サステナブルにもこだわる座席、機内食、制服

Air Japanは、ポーイング787-8を使用する。上位クラスは設けず、全エコノミークラスの324席。シート間ピッチは、FSCのエコノミークラスと同等の32インチ(約81cm)と広い足元空間を確保し、「LCCとは一線を画す、快適な居住性にこだわった」(峯口社長)。加えて、軽量な合成皮革を採用したほか、カーペットも再生ナイロンを使用するなど環境への配慮にも気を配った。

また、シートモニターは設置せず、乗客のスマートフォンやタブレットで、Air Japanが提供する機内エンターテイメントをWi-Fi経由で楽しめるようにする。Wi-Fiについては、機内利用は無料で提供するが、地上との通信については未定。コンセントは設置しないが、充電用USBポートはAタイプとCタイプを用意する。

機内食は有料。事前予約メニューと機内注文メニューを用意する。事前予約によってフードロスの削減を進めるほか、インバウンド向けに日本のさまざまな食文化が体験できるメニューを提供する。

制服は、ブランドカラーである「藍色」「曙色」をバランスよく使用し、日本の伝統である「結び」「重ね」をデザインに取り入れた。企画段階から現役の客室乗務員が関わり、デザインはオンワードが担当。ダイバーシティを目的に、性別を問わず、ジャケットの袖やパンツの裾の長さの調整を可能とし、自分らしく着こなせるボーダレスなデザインを採用した。ジャケットやボトムスなど一部をシェアアイテムとすることで、衣服ロスにも対応する。またパンプスとフラットシューズ、革靴に加えスニーカーも選択可能にする。

座席は居住性、制服はダイバシティにこだわり。機内BGMは、東京藝術大学との産学連携プロジェクトで制作。同大学修士課程に在学中の冷水乃栄流(ノエル)さんの作品が応募の中から選ばれた。


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