自治体の観光事業の実態調査、「広域連携している」は4割、観光DXで「何をすべきかわからない」も多く

デジタルスマートシティ推進財団のシンクタンクである日本観光推進総合研究所は、「観光事業に関する自治体実態調査」の集計結果を発表した。この調査は、各自治体における観光事業やプロモーションに関する取り組み状況の実態を把握するために毎年実施されているもの。今年の調査は、2024年4月22日~6月14日にかけて、全国1741自治体を対象に実施された。回収数は720票。

昨年度の観光客数については、調査対象の702自治体のうち、約半数以上(354自治体)がコロナ前の水準に回復(34%)、またはそれを上回っている(17%)と回答。一方で、依然としてコロナ前の水準に達していない自治体が、348自治体(49%)存在した。

観光DXの取り組み状況については、「取り組んでいる」「取り組む予定」は4分の1にとどまっていることもわかった。観光DXに取り組めていない、または取り組む予定がない理由は、「予算不足」と回答した自治体が337自治体、「人材不足」は313自治体。また、「何をしていいかわからない」と回答した自治体が221自治体にものぼった。

観光事業を推進していくうえでの課題では、トップが「人材不足」で455件。次いで「予算不足」397件、「二次交通対策」397件、「宿泊施設が無い/少ない」354件、「観光地としての認知度が低い」338件の順となった。

このほか、広域連携について698自治体のうち「連携している」と回答した自治体は265自治体(38%)、「連携を検討中」は184自治体(26.4%)だった。相手として最も多いのは「近隣自治体」で289件。次いで「都道府県」が105件、「DMOや観光推進機構」が101件、「広域連携協議会」が72件、「県外の自治体」が64件と続いた。

観光事業の推進における課題(報道資料より)。

多言語化で機械翻訳「活用の予定なし」が半数以上

多言語化の実施状況については、販促物・掲示物での対応は英語 470件、中国語(繁体字)296件、中国語(簡体字)291件、韓国語228件の順。デジタルコンテンツでは、英語 285件、中国語(繁体字)207件、中国語(簡体字)203件、韓国語179件の順となった。翻訳に関して、機械翻訳は685自治体のうち131自治体(19%)が「活用している」と回答。一方で、「活用する予定はない」と回答した自治体は381自治体(56%)と依然として半数を超えていることもわかった。また、「機械翻訳は信用しているが、人による翻訳が望ましい」と回答した自治体は224自治体、「完璧ではない以上、機械翻訳は控えたい」と回答した自治体は56自治体となった。

情報発信プラットフォームについては、「Instagram」を活用している自治体は605件で最も多く、次いで、「Facebook」が488件、「X」が391件、「YouTube」が353件の順となった。SNS運用における課題の上位は、「人材不足」が327件と最も多かった。次いで「効果的な投稿ができているか検証しづらい」が311件、「行政として民間事業者を公平に紹介しづらい」が268件。

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