KNT-CTホールディングスは2021年2月9日、2020年12月末時点で34億6300万円の債務超過に陥ったことを公表した。昨年11月以降の新型コロナウイルスの第3波で多数の旅行予約がキャンセルが発生。同日開催したオンライン会見に登壇した代表取締役社長の米田昭正氏は、「2期連続の債務超過は上場廃止となるため、最大限を尽くし、何としても避けなければならない」と語った。
自己資本比率がマイナス3.9%に
第3四半期の累計売上高は、前年同期比81.1%減の612億3400万円。旅行需要の激減に加え、ソフトウェアなど固定資産の減損で特別損失を計上したことが響き、純損失が216億1500万円となった。結果、純資産が前連結会計年度に比べ218億8900万円減少。自己資本比率マイナス3.9%で34億円あまりの債務超過になった。
この結果、通期の連結業績予想についても、売上高を昨年11月に公表した前回予想の1400億円から前期比77.4%減の870億円に、営業損失を250億円から355億円に、当期純損失を170億円から370億円にそれぞれ下方修正した。370億円の赤字は創業以来、過去最大となる。
債務超過に伴う今後の資金調達の対策については、「上場しているため詳細の公表は差し控える」(米田氏)。ただ、第3四半期末で現金および現金同等物として約500億円の資金残高を有しているほか、300億円のコミットメントライン契約を締結していることから、現時点で特段の不安要素はないとした。
希望退職に1376名応募、店舗縮小前倒しも
米田氏は会見で、希望退職に過去最大となる計1376名(正社員808名、有期雇用社員568名)が応募したことも明らかにした。退職日は3月31日で、特別退職加算金などの費用約60億円を見込む。再就職支援には専門のコンサルティングを採用しており、すでにサービス、小売り、保険など幅広い業界からの求人があるという。
従業員約7000人の約3分の1を2024年度までに削減する計画だが、「今後の新規採用抑制、出向に加え、希望退職は想定していた上限に達した」(米田氏)ことから、全国に138あるKNT個人旅行店舗を2022年3月末までに約3分の1に縮小する計画を前倒しする可能性も示唆した。
新中計(骨子)も発表、2022年度に黒字化目指す
また、KNT-CTは2021年度から2025年度までの5カ年の新中期経営計画(骨子)も発表した。昨年11月に公表した構造改革の内容を踏まえたもので、OTAとの競争激化、サプライヤーの直販化に加え、新型コロナウイルスで旅行需要の大半が消失する厳しい状況下に置かれるなか、より専門性、収益性の高い分野に経営資源を集中するとした。
具体的には、クラブツーリズム事業の拡大、個人旅行事業のウェブ販売シフト、団体旅行事業の改革を進めるほか、2018年度比で2022年度には約200億円のコスト削減を図り、2022年度に営業利益50億円、純利益40億円の黒字化を目指す。新中計では、10年後に目指す長期ビジョンとして「少子高齢化社会の中で、非日常に加え日常生活を含めた様々なシーンで“楽しさ”を提供する企業を目指す。」も掲げた。
新・クラブ1000事業、新・旅のコンシェルジュ導入など、新中期経営計画に盛り込んだ事業展開は後日詳報する。